近頃、「夫婦の3組に1組が離婚している」と言う話を耳にすることがあります。
でも、自分の周りを見回してみて、「そこまで多いかな?」と思われませんか。実は、この数字は、ある年の離婚件数を同じ年の婚姻件数で割ったものとして説明されることがあります。しかし、その年に離婚した夫婦の多くは、それ以前に結婚した夫婦です。つまり、その年に結婚した夫婦の3組に1組が離婚するという意味ではありません。
厚生労働省が毎年行っている「人口動態調査」によると、2025年には約18万組の夫婦が離婚しています。では、万一ご自身が「離婚の当事者」になってしまった場合、離婚とは、どうすればいいのか? 離婚届を役所に出せばそれでいいのでしょうか?ここからは、より良い離婚の仕方を、今回のテーマである「協議離婚」と「離婚協議書」の説明とともにお伝えさせて頂きます。
《離婚の方法》
離婚の主な方法は、次の3種類です。
- 協議離婚:当事者の協議による合意の上、離婚届を市町村長に届け出る。
- 調停離婚:家庭裁判所の調停手続きにより調停を成立させる。
- 裁判離婚:離婚しようとする者が離婚の訴えを家庭裁判所に提起して確定判決を得る。
※裁判離婚については、日本には「調停前置主義」という法的決まりがあり、例外もありますが、原則としてまず調停を行う必要があります。
次に、この3種類の割合はどの様なものかを見てみます。実は、日本の離婚の約9割は協議離婚です。つまり、離婚する夫婦のほとんどは、当事者の協議による合意で離婚届を提出しているということです。とはいえ、実際にはどれ程の夫婦がしっかりと協議と合意をした上で離婚をして、その後、合意内容が守られているのでしょうか。
そもそも協議離婚とはどうやるのか?初めて離婚に直面したら分からないのは当然だと思います。そこで、次に協議離婚について詳しく書かせて頂きます。
《協議離婚の流れ》
協議離婚では、例えば次のような流れで進めることが考えられます。
- 離婚条件について話し合う。
- 離婚協議書を作成する。
- 必要に応じて、離婚協議書の内容を公正証書にする。
- 離婚届を記入して役所に提出する。
※「離婚協議書」:夫婦で決めた離婚条件を書面にしたもの。(離婚協議書が無くても離婚自体は出来ますが、後から「こんな条件は決めていない」など、言った言わない等のトラブルにならない為に、書面にしておく事が大切です。)
※「公正証書(離婚給付等契約公正証書という)」:公証人が作成する公文書です。合意した内容を明確に残すことができ、養育費などの金銭の支払いについて、強制執行を認める条項を設けるなど一定の要件を満たせば、支払いが滞った場合に、差し押さえ等の強制執行を申し立てることも可能になります。
《協議の内容》
- 離婚の合意
- 親権者と子の監護に関する事項
- 養育費
- 親子交流
- 離婚慰謝料
- 離婚による財産分与
- 年金分割
- 住所変更等の通知義務
- 清算条項(この協議書に定めたもの以外の債権債務の清算に関する定め)
- 強制執行認諾(公正証書に設ける、金銭の支払いが滞った場合に強制執行を受けることを認める条項)
※2.については、未成年の子がある場合に定めます。なお、2026年4月の民法改正により、離婚後の親権者を父母双方とする「共同親権」も認められるようになりました。親権者を定める際には、子の利益を第一に考えることが大切です。
※年金分割については、別途、年金事務所等への請求手続きが必要です。
上記の事項について、当事者間の要望や必要性に応じて協議し合意をします。なお、話し合う内容はそれぞれの夫婦の事情によって異なります。
合意をしたらこれを書面で残します。これが「離婚協議書」です。更にこの書面を基に公正証書が作成できます。離婚後に合意の内容で揉めたり、約束を守ってもらえない時のために、公正証書にしておくことをお勧めします。
以上が協議離婚の基本的な進め方になります。夫婦双方が離婚に合意し、必要な事項を記載した離婚届を役所に提出して受理されれば、協議離婚は成立となります。なお、未成年の子がいる場合には、離婚後の親権者を定める必要があります。注意していただきたいのは、離婚協議書も公正証書も、できるだけ離婚の前に作成しておくことをお勧めしたいということです。離婚後に作成することも出来ますが、先に離婚を成立させてしまうと、相手方が話し合いに応じなかったり、連絡が取れなくなってしまう事もあります。ただし、話し合いが難しい場合や、相手方から暴力などを受けている場合には、無理に当事者同士で話し合う必要はありません。
いかがでしょうか。日本の離婚の大多数を占める協議離婚ですが、その際に離婚協議書や公正証書が大切であることを、おわかりいただけたのではないでしょうか。離婚後のご自身やお子さんのより良い未来のために、協議離婚をするのであれば、是非、離婚協議書や公正証書の作成を検討してみて下さい。もしも、わからない事などがあれば、お近くの行政書士にお尋ね下さい。行政書士は、夫婦間で合意した内容に基づく離婚協議書の作成や、公正証書の作成に向けた手続きのお手伝いが出来ます。ぜひお気軽にご相談ください。
なお、離婚条件について争いがある場合には、弁護士への相談や家庭裁判所の調停を利用する方法もあります。あわせてご確認ください。
