衣替えの季節を迎え、夏の訪れを感じる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回のコラムでは2026年1月に施行されました改正行政書士法についてご紹介させていただきます。
皆様は行政書士というと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?「車庫証明」「建設業許可」「在留資格申請」など、書類作成の専門家というイメージを持つ人も多いかもしれませんね。実際、長年にわたり行政書士のルーツでもある“代書屋”の延長線のように見られてきた面もあると思います。
しかし、社会は大きく変わりました。行政手続きのデジタル化が進み、補助金申請や外国人雇用、各種許認可申請などは、以前よりも複雑化しています。また、インターネット上では申請代行をうたう無資格業者がみられるようになり、誰が適法に業務を行えるのか分かりにくい状況も生まれてしまっています。
こうした背景の中で行われたのが、2026年施行の改正行政書士法です。改正の主なポイントは次のとおりです。
1.「使命」の明文化
従来の行政書士法では、「国民の権利利益の実現に資することを目的とする」と規定されていました。しかし改正後は、「目的」ではなく「使命」という表現が使われるようになりました。 つまり行政書士は単に書類を書く人ではなく、行政手続きを通じて国民の権利利益を守る専門職である、という位置付けがより明確になったといえます。
2.デジタル社会への対応
改正により、行政書士には情報通信技術の活用を通じて、国民の利便性向上と業務改善に努めることが法律上明記されました。
近年、行政手続きのオンライン化が急速に進んでいます。一見便利に見えますが、高齢者やITに不慣れな人にとっては、逆に“手続きの壁”になっている側面もあるのではないでしょうか。
マイナポータル、電子申請、オンライン補助金申請――。画面の案内だけで理解できる人ばかりではありません。だからこそ、制度と国民をつなぐ存在として、行政書士がその役割を果たすことが求められています。
3.無資格者による業務への規制強化
「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」行政書士業務を行うことを禁止する文言が加えられました。 これにより手数料やコンサル料といった名目であっても、行政書士でない者が業として書類作成をすることはできなくなりました。
さらに、法人ぐるみの違反に対する「両罰規定」も整備され、企業側も資格確認を怠ると罰則の対象となる場合がありますので注意が必要です。
4.不服申し立て等の業務拡大
通常の行政書士業務に加え、許認可などに関する行政庁への不服申し立て手続きの代行を行う特定行政書士という制度があります。これまでは、特定行政書士が不服申し立て手続きを行えるのは行政書士が作成した申請書類のみでしたが、今回の法改正により、行政書士が申請に関わっていない場合でも不服申し立て手続きができるようになりました。
このように、今回の行政書士法の改正は、時代の変化とニーズに合わせて行政書士の役割や社会的使命を改めて明確にしたものといえます。
わたしたち行政書士は時代に対応し、法律知識だけでなく、デジタル手続きへの対応力も向上させていくなど、さらなる研鑽を積んでいく必要があります。そして、制度を理解し、国民に分かりやすく橋渡しする専門家としての役目を果たしてまいります。
行政手続きなどでお困りの際は、お気軽にお近くの行政書士へご相談ください。
