風薫る五月となりました。木々に若葉が茂り、心地よい季節ですね。
さて、今回のコラムでは、無料相談会などでもご相談いただくことがある「内容証明郵便」についてお話ししたいと思います。
【内容証明郵便とは】
内容証明郵便は、どのような内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって証明する制度です。「謄本」とは、内容文書を謄写(コピー)した書面という意味です。謄本を差出人と差出郵便局で保管して、一般書留郵便物の内容文書について証明することができます。
法令上では、郵便法(第2章第4節「郵便物の特殊取扱」)で規定されていますが、特殊取扱のうち「書留」と「内容証明」の2つをセットにしたものが内容証明郵便ということになります。
【行政書士が行う内容証明業務】
行政書士の業務内容に「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること(行政書士法第1条の3)」があり、その「権利義務又は事実証明に関する書類」に内容証明郵便も含まれます。
未収金を回収したい場合や、「訪問販売で買ってしまった商品について契約解除したい」というようなクーリングオフの場合など、依頼者の意思に基づき、文書作成の代理人として内容証明郵便を作成します。
ただし、弁護士法など、他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができませんので、交渉において解決しなければならない法的紛議が生ずることがほぼ不可避である案件に関わることはできません。
【注意点など】
内容証明郵便は「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、証明することができる」ということ以外は、普通郵便での通知と変わりはなく、文書の内容が真実であると証明されているわけではありません。
従って、内容証明郵便を送ったからと言って、それだけで問題が解決するとは限りません。
反対に、内容証明郵便の受取人となった場合は、書面をよく読んで、内容が事実であるかを冷静に判断し、回答の要否を検討する必要があります。
また、未収金の回収をしたい場合であっても、相手方が真に経済的に困窮しているなかで分割払いを申し入れるなど、誠意をもって対応しているときには、内容証明を送付することで相手方を追い込むことが得策とは言えない場合もあります。さらに、差出人側にも非がある場合や、今後も親しく付き合いたい相手に対しては、安易に内容証明を利用すべきではないでしょう。相手方が財産隠しを行いそうなときも、注意が必要です。
次に、内容証明郵便の出し方についてです。
【差出郵便局について】
集配郵便局(多くの場合は「ゆうゆう窓口」がある郵便局)および日本郵便が指定した郵便局でしか差し出すことができません。
湘南支部の地域では、藤沢郵便局・藤沢北郵便局・茅ヶ崎郵便局・寒川郵便局などで取扱いしています。郵便局によって、取扱い可能な曜日や時間が違いますので、事前にご確認ください。
【差出方法】
郵便窓口に次のものを提出します。
(1)内容文書(受取人へ送付するもの)
(2)(1)の謄本2通
(3)差出人と受取人の住所氏名を記載した封筒
(4)内容証明の加算料金を含む郵便料金(普通郵便の料金、内容証明の加算料金、一般書留料金に配達証明などのオプション料金を加えた料金)
※窓口に行かれる際には、訂正や契印(割印)の押し忘れなどに対応するために、差出人の印鑑をご持参されることをお勧めします。印鑑は認印でかまいません。
※配達日を証明するためには、オプションで「配達証明」を付ける必要があります。配達日の証明と内容の証明の双方が必要となる場合がありますので、送付時にオプションで配達証明を利用するのが一般的です。
【内容証明の書き方】
記載できる文字は、仮名・漢字・数字・英字(固有名詞に限る)・括弧・句読点・その他一般に記号として使用されるもの、と決められています。
用紙は特に指定されていません。
パソコンのワープロソフトで作成して白紙に印刷することもできますし、手書きの用紙でも構いませんが、謄本には1行に記載できる文字数に制限があるので、手書きの場合はマス目の付いた用紙を用いると文字のカウントがしやすいと思います。内容証明用の用紙も市販されています。マス目が付いて3枚複写になっているので便利です。昔ながらの赤い枠の用紙はインパクトがあります。
ワープロソフトで作成する場合は、行数と1行の文字数を設定しておくと便利ですが、句読点の処理によって1文字増えてしまう場合があるので注意が必要です。
縦書き、横書き、いずれでもかまいませんが、謄本は1ページあたりの文字数が520文字以内と決められています。用紙の大きさや文字の大きさは制限されていませんが、どんなに小さな文字で書いても制限以内の文字数しか書けません。
縦書きの場合:1行20字以内・1枚26行以内
横書きの場合:1行20字以内・1枚26行以内
1行13字以内・1枚40行以内
1行26字以内・1枚20行以内のいずれか
謄本の作成方法には細かな制限があります。字数の計算方法や、文字や記号の訂正の方法、謄本が2枚以上にわたる場合の契印、謄本への差出人及び受取人の住所氏名の記載等についてです。詳細は郵便局のホームページ
https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/use.html
でご確認ください。
インターネットを通じて内容証明郵便を24時間発送できるe内容証明(電子内容証明)を利用すると、用紙や封筒を準備する必要がありません。1枚あたり1584文字を目安としているので、窓口で差し出す場合は3枚の用紙が必要であるところ、e内容証明を利用すると1枚にまとめることができるので、文字数が多い場合は郵送料の節約にもなります。
詳しくは、郵便局のホームページをご確認ください。
https://www.post.japanpost.jp/service/enaiyo/index.html
行政書士が取り扱うクーリングオフについては、神奈川県行政書士会のホームページでご覧いただけます。
https://www.kana-gyosei.or.jp/business/coolingoff
クーリングオフや内容証明については、是非お近くの行政書士にご相談ください。
