農地転用手続における事前協議の重要性 ~農地台帳のデジタル一体化と農地中間管理制度強化をうけて~

 

今年も残すところわずかとなりました。

冷気が一段と深まり冬の訪れを感じる今日このごろ、体調をくずされることのないよう、皆様におかれましてはくれぐれもご自愛ください。

さて、2025年に入り、神奈川県内でも農地転用許可申請の流れが変わりつつあります。

申請書の作成や添付図面の整理だけでは進められず、申請前の「事前相談」や「地域協議」が、従来よりも重視されるようになっています。

今回は、この背景にある制度改正と、注意点について整理いたします。

  1. 制度が変わった背景

令和5年の「農業経営基盤強化促進法」の改正により、市町村は、地域ごとに農地をどの主体が利用していくかを示す「地域計画」を作成することが求められました。

また、農地を担い手へ集約するための仕組みである農地中間管理機構(農地バンク)の運用が強化され、あわせて農地の所有・利用状況が台帳としてデジタルで統合されつつあります。

その結果「その農地は地域として本来維持したい農地かどうか?」
「担い手が利用する可能性があるか?」

といった点が、農地転用の審査において、従来よりもはっきりと問われるようになりました。

  1. 現在、事前協議が重要になっている理由

神奈川県内の多くの地域では農地を将来にわたって維持するかどうかを営農組織や農業委員会が定期的に話し合う仕組みが設けられています。しかし、この協議は 月に1回や年に数回 しか開かれない地域が多く事前相談が遅れてしまうと

  • 「協議のタイミングが合わず、申請が数か月遅れる」
  • 「検討不足のまま申請してしまい、再度協議が必要になる」
  • 「地域計画との整合性が不十分と見なされ、修正が求められる」

といった事態が起きやすくなります。

つまり、農地転用は、法定手続だけで進むものではなく、地域の意思形成が前提となる手続に変わりつつあると言えます。

  1. 実務上の変更点(2025年現在)
変更点 内容 実務への影響
事前相談の強化 申請前に農業委員会で協議する必要がある 申請準備に要する期間が伸びる
地域協議の比重増加 生産組織や集落などの合意が重視される 会議スケジュールが許可時期を左右する
地域計画との照合 転用の必要性や公益性の説明が必要 計画書・事業計画の精度が求められる
添付資料の精密化 境界確認、排水状況、現況写真など 設計者等との初期連携が重要に

特に、福祉施設・資材置場・駐車場・太陽光設備など、非農地利用が目的となる計画は、地域理解を得ることが不可欠です。

  1. 行政書士としてできる支援

 ・土地利用計画の初期段階での相談対応

・農業委員会との事前協議の同行・内容整理

・地域協議に必要な説明資料の作成支援

・図面、現況、排水計画等の整合性確認

・許可取得後の管理計画に関する助言

特に、土地が決まってからの相談から「土地を検討する段階での相談」へと相談の入口を切り替えていただくことが今後ますます重要になります。

おわりに

農地転用は単に農地を転用するための申請ではなく、地域の農業をどのように守り継続させていくかという文脈の中で考える手続へと変わりつつあります。

行政書士は地域と事業者、双方に寄り添いながら適切な調整と支援を行っております。

ご相談や情報交換など、行政書士にお気軽にお声がけいただければ幸いです。