自賠責保険のお話

 

10月に入りました。「暑さ寒さも彼岸まで」のとおり涼しさを感じるだけでなく、
特にこの時期は夏と比べ日が落ちるのがぐっと早くなったなと感じるものです。
また夕暮れ時は、交通事故が最も発生しやすい時間帯とも言われていて、
毎年秋分の日の頃に交通事故に対する注意喚起のため、秋の全国交通安全運動が
行われています。
今回は秋の交通安全運動にちなんで自動車保険の中の自賠責保険(自動車損害
賠償責任保険)の概要について触れてみたいと思います。


自動車保険は大きく分けて“強制加入の自賠責保険”と“任意加入の保険”があります。
事故当事者が任意保険に加入している場合は、保険会社が契約者に代わって自賠責保険の
請求を行い、自賠責保険部分も含め、一括して支払っているケースが多いため、
日頃は自賠責保険自体を利用しているイメージがあまり無いかもしれません。
しかし自賠責保険は交通事故に遭った被害者が最低限の補償を受けられるよう
「被害者救済」目的で制定された大切な保険です。
自賠責保険の大きな特徴としまして…
1.強制加入義務
道路を走行する自動車やバイクには法律により加入が義務付けられています。
もし自賠責保険に加入しないで使用していた場合には、刑事罰(1年以下の
懲役又は50万円以下の罰金)と行政罰(6点減点)を課される恐れがあります。
原付バイク等によくあるのですが、うっかり保険加入期間が過ぎ、無保険で
運転してしまっていることがあります。車検に出す必要のない排気量の小さな
二輪車は要注意です。
2.支払内容
対人賠償のみとなっています。
交通事故によって破損させてしまった自動車やガードレール等、物の損害には
支払われません。
3.被害者からの直接請求
被害者は加害者の同意を得ることなく、加害者の加入している自賠責保険会社に
直接請求することができます。事故当事者が加入している自賠責保険に関する
情報は“交通事故証明書”に記載されています。
4.支払限度額
自賠責保険では被害者一人当たりの支払限度額が定められています。
傷害による損害は120万円まで、後遺障害による損害は等級に応じて
4000万円(1級)〜75万円(14級)まで、死亡による損害は3000万円まで
となっています。
5.重過失減額の制度
自賠責保険では、被害者(自身)に重大な過失がない限り減額されません。
もし重過失がある場合でも被害者に有利な減額割合となっています。
以上が自賠責保険の大きな特徴となります。
自動車保険は自賠責保険と任意保険が絡み合っていて、非常に理解しづらく
専門的な知識が必要となります。
交通事故に遭ってお困りの際、自賠責保険請求手続きなどで行政書士が
お力になれます。その際はお近くの行政書士へお気軽にご相談ください。