知っておきたい供託制度

 

我が国には、供託という制度があります。

供託とは、金銭や有価証券等を国家機関である供託所に提出し、その管理を委ねることによって、最終的には供託所がその財産をある人に取得させることにより、一定の法律上の目的を達成しようとするために設けられた制度です。

 

代表的な例として、弁済供託、というものがあります。

例えば、アパートの大家さんから突然、家賃の値上げを言い渡されたとします。その場合、値上げ前の家賃を持参したとしても、受け取りを拒否されてしまうケースが多くあります。

しかし、受け取りを拒否されたからといって、そのまま家賃を払わずにいると、債務不履行による賃貸借契約の解除という法律行為によって、アパートに住み続けられなくなってしまったり、損害賠償の請求を受けてしまう可能性があります。

そこで値上げ前の家賃を供託所に預けることによって、家賃の支払い債務を免れつつ、家賃の額について交渉をすることができます。結果として、家賃が値上げされない場合は供託所から供託金が大家に支払われます。

逆に値上げを賃借人が受け入れた場合、供託金に加えて家賃の値上げによる差額と遅延損額金を併せて支払うことになります。

 

他にも様々な種類の供託がありますが、われわれ行政書士は、官公庁に提出する書類の申請を代行させて頂くことを業務の一環としており、新たに不動産業や旅行業を始めようとされる事業者のお手伝いもさせて頂いております。

これらの事業は営業保証供託を法律上義務付けられています。これは、事業者に不測の事態が起きたときに、国が事業者に代わってその債務を弁済する制度です。

 

供託の金額は、不動産業においては本店では1,000万円、支店では500万円と定められており、旅行業においては第一種旅行業では7,000万円、第二種では1,100万円、第三種では300万円と定められています。

新たに事業を始める事業者にとって、運転資金に加えて、この高額な供託金を準備することはかなりの負担となってしまいます。

そこで、保証協会に入会し、供託金に代わって少額な分担金を納め、より少ないコストで業界に参入する新規事業者が多くみられます。

 

保証協会は業界毎に複数存在し、不動産業においては全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連、ハトのマーク)や全日本不動産協会(全日、ウサギのマーク)、旅行業においては日本旅行業協会(JATA)や全国旅行業協会(ANTA)といった団体があります。

 

不動産業の保証協会は、定期的に入会キャンペーンを行っておりますので、入会時期によって費用負担にかなりの違いが出てきます。入会には事前の調査が欠かせません。また、セミナー開催等の会員サービスも、それぞれの協会で強みが違います。

 

旅行業はJATAの年会費が比較的高いので、第一種旅行業以外に参入する事業者はANTAを選ぶ傾向にあります。しかしANTAの場合、入会の随時受付を行っておらず、参入の時期によっては注意が必要となります。

 

新規に事業を開始する際に必要な許認可の手続きに加えて、保証協会への入会申請も行うとなると、事業者にとっては大きな負担となります。

そんなとき、われわれ行政書士をご活用頂くと、このような負担も軽減され、適切なアドバイスにより申請も滞りなく進めることができます。

新規に事業を始める際には、ぜひお近くの行政書士にご相談ください。