相続における「遺産分割協議書」について

 

今年は梅雨明けを迎えても天候の定まらぬ日々が続いておりましたが、
気がつけば8月、長期的には残暑が厳しくなりそうとの予報もあり、
これからがいよいよ夏本番となるのかもしれません。
夏休みシーズンを迎え、故郷への帰省を予定されていらっしゃる方もおいででしょう。
お盆の頃にはお墓参りをされ故人を偲ばれることと思います。
特に今年「新盆」を迎えるご家庭では、親族一同が集まった席で
「相続」についてのお話し合いをなさろうとお考えの方も多いのではないでしょうか。
今月は、相続における「分割協議書」のお話をさせていただきたいと思います。
「相続」というと、言葉の響きやイメージから、「財産がたくさんある家庭で行う手続き」と
思われがちです。
しかし、実際は財産の多少にかかわらず、故人の財産を、遺された者がどのように
分けるのかをきちんと決める必要があります。むしろ、財産はマイホームくらい、
といったご家庭での相続がこじれてしまうケースも多々見受けられるのが実情で、
実はどなたにとっても身近な手続きのひとつなのです。


故人(「被相続人」と言います。)が遺言書をのこしていらっしゃらなかった場合や、
民法で定められた法定相続以外の相続方法をご希望の場合には、まず、
相続人間での話し合い(「協議」と言います。)により、被相続人の財産をどのように
分けるのか(「分割」と言います。)を決めることとなります。
複数の相続人がいる場合、相続財産が現金・預貯金等のみであれば
比較的分割が容易と言えます。一方、不動産など、即換価しづらい財産については、
分割することが難しい場合があります。
この時にどのように分割するか、具体的な分割方法を相続人の間で話し合い
決定することを「分割協議」と呼んでいます。
遺言書をのこしていらっしゃらなかった場合でも、故人が、遺された者たちで
仲良く話し合いの上、よろしく取り計らって欲しいと思われていたであろうことは
想像に難くありません。ぜひとも故人のそうしたお気持ちに寄り添い、
相続のお話し合いが円満に結実されることを願ってやみません。
さて、このように「分割協議」により決まった事柄は、後に水掛け論でトラブルを
生じさせないためにも書面に記録しておくべきものです。また、金融機関の手続きや
不動産の名義変更の際にも、書面をもって内容を証明しなければその手続きが
執行されないのが通例です。この書面が「分割協議書」と呼ばれるものです。
一般に「分割協議書」には相続人全員の実印をもって署名、押印し、かつ印鑑証明書を
添付します。印鑑証明書は本人でなければ取得が出来ませんので、各相続人が協議の
内容に納得していた上で押印をした書面であることの証明、と考えるとわかりやすいですね。
では、実際にどのような書き方で書面を作成すれば良いのか、が肝心なところですが、
分割協議の内容によりその記載方法は様々です。また、せっかくのお話し合いの結果に
漏れがないように留意することも必要です。
私たち行政書士はこうした「分割協議書」の作成も承ることが出来ます。
相続手続きに関してお知りになりたい事柄は、相続税については税理士、
不動産の名義変更登記については司法書士、と業務管轄士業が多岐に
わたることが多いのですが、相続手続きが発生し「まず、何をどこに
聞けばよいのだろう?」とお悩みになったら、ぜひ行政書士を
身近な窓口としてご利用いただきたいと思います。
どうぞお気軽にお近くの行政書士にお問い合わせ、ご相談ください。