生産緑地の2022年問題

 

9月に入っても厳しい暑さが続いております。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

さて、首都圏では2年後の2020年に東京オリンピック開催を控えておりますが、
さらにその2年後の「生産緑地の2022年問題」をご存じでしょうか?

生産緑地とは「市街化区域内にある一定条件を満たす農地を、三大都市圏にある
特定市が都市計画に基づき指定したもの」です。市街化区域内にある農地を、都市
環境の保全や防災上の観点から、維持することを目的としています。(藤沢市、
茅ケ崎市でも例年6月~7月頃指定の相談を受け付けています)

指定を受けた場合、原則として建造物を建てることはできない点、営農不可となる
故障や指定から30年を経過しないと指定を解除できない点などの制限がある一方、
固定資産税・相続税の優遇を受けることができます。

現行生産緑地法の施行は1992年ですが、2022年になると、法の施行から
30年が経過し、当時生産緑地の指定を受けた土地所有者は、指定の解除が可能と
なります。そこで「生産緑地がたくさん手放され、宅地として供給されるのでは
ないか?」「地価が不安定になるのではないか?」という予測が発生し「生産緑地の
2022年問題」と言われています。

地価に関する問題ですので、生産緑地を所有されている方のみならず、これから不動産
を購入しようとお考えの方などにも関連する問題です。

政府も2017年5月に制定された「都市緑地法等の一部を改正する法律」により、
2022年問題への対応をしています。具体的には、生産緑地指定の面積要件・建造物
要件を緩和し、指定から30年が経過した生産緑地でも、新たに指定を受ければ解除
申出が可能となる時期を10年延長することができることとしました。これらの法改正に
より、生産緑地の所有者は、指定を解除せずに生産緑地を継続することや、一部のみ
指定を解除するという選択もできるようになりました。

以上のように、4年後の2022年に大きな転換時期を迎える生産緑地制度ですが、
今後も政府のさらなる法改正や、自治体による対応も進んでくると思われます。
空き家が増加している問題、団塊の世代と相続の問題なども合わせて状況を見守って
いく必要があります。

私たち行政書士は、生産緑地に限らず、農地転用許可申請や開発行為許可申請など、
「土地の利用に関する許可申請」の専門家です。お困りの際は、お近くの行政書士まで
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