法定相続情報証明制度について

 

暑い日が続き、梅雨の中にも夏の足音が聞こえてまいりました。このコラムをご覧いただいている皆様の日々のご健勝をお祈り申し上げます。

さて、今月は日頃皆様からご相談をお寄せいただくことの多い相続手続きについて、お役に立つ情報をお届けいたします。

 

身近な方の相続手続きを、一度でも、ご自身でされたことのある方ならご存じのことかと思いますが、お亡くなりになった方の預貯金や不動産などの名義変更をする際には、原則として、相続人を特定するために、お亡くなりになった方の「出生から死亡まで」の戸籍が必要となります。(注:公正証書遺言のある場合はこの限りではありません。)

 

まず、お亡くなりになった方の最後の本籍地の役所で最新の戸籍を取得すると、お亡くなりになった方の欄に「除籍」と書いてあって、そこに、生年月日と死亡日が書いてあります。

「これで『出生から死亡まで』書いてある!」と思われがちですが、身分事項(婚姻・離婚・養子縁組など)が生じた場合は、戸籍を新たに作成するため、最新の戸籍だけでは、全ての相続人を特定することができないケースがほとんどです。通常は「従前戸籍」の欄に記載のある本籍地で、従前戸籍をひとつずつ、遡って取る必要があります。このように、戸籍を遡って相続人を探していくと、多い方では10通以上の戸籍が必要になることもあります。

 

さて、その集めた戸籍の束、これを用いて名義変更などの相続手続きをするのですが、不動産の名義変更の手続き、銀行の名義変更の手続き、その手続きごとに、この戸籍の束がその都度必要となります。銀行手続きは、1銀行あたり数週間~1か月程度の期間を要します。不動産の名義変更にも2週間以上かかります。さらに相続税の申告が必要な場合、相続発生から10か月以内に申告をしなければならないのですが、そこにも戸籍の束が必要です。

このように、1つの手続きが終わって戸籍を返してもらってから、次の手続きに入るので、

全ての手続きが完了するまで、非常に長い期間が掛かってしまいます。

 

そこで、法定相続情報証明制度(平成29年5月29日から運用開始)の出番となりました。集めた戸籍の束を、「法定相続情報一覧図」という形にまとめて、戸籍や必要書類と一緒に法務局へ申請すると、法務局の登記官が認証文をつけた「法定相続情報一覧図の写し」を、無料で必要な通数を交付してもらえます。この一覧図の写しを、戸籍の束の代わりに相続手続きに利用できるようになりました。これにより、銀行手続き、不動産の名義変更、相続税申告など、複数の相続手続きを同時進行できるようになりました。

 

この法定相続情報証明制度については、法務省の下記のサイトもご参照ください。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html

 

行政書士はこの法定相続情報一覧図の作成、写しの交付について、代理人としてお手伝いすることのできる資格者です。面倒な戸籍の取得についてもご一緒に依頼をいただけましたら、相続人の方々のお手を煩わせることなく、スムーズな相続手続きが行えます。

 

身近な方がお亡くなりになったときに、「行政書士」を思い出していただけますと幸いです。どうぞお気軽にお問い合わせください。