日常生活に溶け込む法律・条例(路上ライブを例にとって)

 

 皆様、いかがお過ごしでしょうか?

 先日、神奈川県内の某駅前で、若者が路上ライブをしておりました。人通りの多い場所
でしたので、足を止める通行人も多く、また、ファンと思われる人は路上に座り音楽を
聴いていました。夢に向かって一生懸命な若者を見ると、すがすがしい気持ちにもなります。

 さて、今回は路上ライブを例にとって日常生活に密接に関係する法律や条例について
ご紹介したいと思います。

 路上ライブを行う目的は、自分達の音楽をできるだけ多くの人に聴いてもらうという
ことから、人通りの多い駅前又は商店街などが路上ライブをする場所として選ばれること
が多いと思います。
 そこで主に考えるべき問題として、2つあります。ひとつは、「通行人の妨げになっては
いないかの問題」、もうひとつは「騒音の問題」です。

 前者の「通行人の妨げ」問題については、「道路交通法」という法律に関係してきます。
道路交通法第77条第1項において、道路使用許可の対象になる行為が規定されています。
路上ライブはその中の第4号に該当します。第4号の具体的行為として、「祭礼行事」「集団
行進」などがあげられ、路上ライブもその中に含まれると解釈されており、原則許可が
必要になります。ただし、その路上ライブがどの程度、通行人や交通の妨げになるかどうか
などで許可申請が必要かどうか判断されますので、事前に管轄の警察署に相談するのが
よいでしょう。
 なお、場所によっては、そもそも路上ライブを認めていない地域や、逆に路上ライブを
推進していて別に条例がある地域もありますので管轄の警察署への確認が必要です。
上記のお話は路上ライブの場所が、国県市区町村の管理している道路の場合の説明です
ので、私有地(個人・法人問わず)である場合は、道路交通法ではなくその場所の所有者との
契約等が関係してきます。

 次に後者の「騒音」の問題に移ります。騒音については、各都道府県で騒音に関する条例が
制定されています。例えば神奈川県の場合ですが、「神奈川県生活環境の保全等に関する
条例施行規則」になります。その施行規則第46条に、「拡声機騒音の規制」が定められて
います。簡単にご説明しますと、拡声機を使っての宣伝放送の使用禁止区域や使用禁止時間、
音量の基準などが定められています。
 学校・乳児院・保育所・病院等の敷地の周囲50メートルは拡声機を使用しての宣伝放送を
禁止しています。またそれ以外の区域においては、使用時間・音量が定められています。
 今回例に挙げた路上ライブは、この騒音の規制における宣伝放送とみなされるのかどうか
という問題ですが、結論から言いますと原則、路上ライブの際CDなどの販売を伴う場合は、
営利目的の宣伝放送とみなされる場合が多いようでこの条例の規制対象になります。
ただ音楽を演奏している場合については規制対象外という判断をしているようです。ただし、
マイクや楽器の音量やのアンプの使用状況によっては、指導や注意をされる場合もあるそう
です。
 騒音の規定は神奈川県の条例に基づくものであり、横浜市・川崎市等は独自の条例に基づいて
判断しているので、こちらも確認が必要です。

 このホームページをご覧くださっている方の中に路上ライブをしたい!と思っている方は
少ないかとは思いますが、日常生活や仕事の中でもちょっとした行為に、実は許可等が必要だった
なんていうケースはとても多いです。
 事前に役所などに確認しておけば、より安心に生活ができ、またリスクなく新たなチャンスも
手に入れられるのではないでしょうか。
 
 もし、「こんな場合、何か許可が必要なの?」「こんなことにチャレンジしたいのだけど、
関連する法律ってあるの?」など、些細なご相談でも構いません。是非、行政書士にご相談
ください。