宅地建物取引業、免許申請について

 

5月を迎えました。春は、入学、就職、転勤等で、引越をされる方も
多かったのではないでしょうか。
引越し先の街で、新しい住まいを探すため、街の不動産屋さんに
お世話になる人も多いことと思います。
希望する物件の条件を伝えると、沢山の物件の中から、予算、立地条件、
設備等を考えた上で、最適な物件を紹介してくれます。
この不動産屋さん、当然に誰もができるというわけではなく、
宅地建物取引業法という法律に基づいて、免許を取得しなければ行うことができません。


宅地建物取引業(以下、「宅建業」と省略します)を営むには宅建業法に基づき、
主たる事務所の所在地がある、都道府県知事(2以上の都道府県の区域内に
事務所を設ける場合は、国土交通大臣)の免許を受けなければなりません。
免許の有効期間は5年と定められています。
そもそも、宅建業とは何かという疑問が湧くかもしれませんが、宅建業とは
不特定多数の相手方との間で、反復継続的に、宅地又は建物を、自己物件、
他人の物件問わず、売買、交換、賃借を行い、又は代理し、媒介する行為を言います。
ただし、自己物件の貸借に関してだけは、免許は無くても行うことができます。
免許を受けるための基準ですが、概ね以下のような要件があります。
1.宅建業法で定める欠格要件に該当しないこと
申請者が法人の場合で、役員等が成年被後見人等である場合や、
禁固以上の刑に処せられた場合等
2.専用の事務所を設置すること
継続的に業務が行え、かつ独立性が保たれる必要があります。
自宅の一室を事務所と定めることも可能ですが、玄関から居間やキッチン等の
他の居室を通過せずに事務所に直接出入り出来る必要があります。
また申請者が法人の場合は、登記簿上の本店所在地は必然的に宅建業の主たる
事務所とする必要があります。もし登記簿上と実際の本店所在地が異なる場合は、
免許申請の前提として、登記簿上の会社の本店を、実際の本店に移転の登記を
しておく必要があります。
3.専任の取引主任者を設置すること
宅建業に従事者する者5名に対して1名の割合で宅建業法上の専任の取引主任者を
設置する必要があります。専任の取引主任者はその名のとおり、その宅建業者に
専任のものでなければなりません(他の会社等と兼任ができません)。
また、免許を受けるための基準ではありませんが、免許取得後、
ア 営業保証金を供託する
イ 宅地建物取引業保証協会への加入 
上記アかイのいずれかが必要になります。
宅建業は取り扱う対象が比較的高額で、取引業者と取引した者に与える影響が
大きいことから、1,000万円の営業保証金の供託(主たる事務所の場合)
または宅地建物取引業保証協会への入会が義務付けられています。
万が一、取引業者が破たんした場合でも、取引した相手方は自己が得た債権に
基づいて、そこから還付を受けられる仕組みとなっています。
上記の基準をクリアし、供託をして初めて業務を行うことができるのです。
以上が、宅建業の免許制度に関する簡単な説明ですが、免許を取得するのは、
簡単なことではないことが、お解りいただけたかと思います。
宅地建物の取引を依頼する場合は、免許を受けている宅建業者に依頼する必要が
ありますので、まず免許をちゃんと受けているかの確認をしましょう。
そのために、宅建業者には免許を受けていることを表示するため、事務所内に
「業者票」の掲示をすることを、宅建業法上義務付けていますので、
必ず確認するようにしたいものです。
また、この宅地建物取引業の免許申請は行政書士の業務のひとつです。
ご不明な点があれば、ぜひお近くの行政書士にご相談ください。