婚外子の相続分に関する民法の一部改正について

 

新年あけましておめでとうございます。
皆様、おだやかな年明けをお迎えのことと存じます。
新春を迎え、我々行政書士も気持ちを新たにし、
皆様のお近くでお役に立てるよう、
これからも研鑽を積んでまいりたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今年最初のお話ですが、
昨年末に私たちにとって身近な法律のひとつである民法の一部改正がありました。
相続のお話にかかわる内容ですので、触れておきたいと思います。


これまでの民法では、
「嫡出でない子(=結婚していない男女間に生まれた子)」の遺産相続分は、
「嫡出子(=法律上の夫婦の子)」の半分である、と規定されていました。
(ただし、認知されていない嫡出でない子は、相続権そのものが認められません。)
しかし、平成25年9月4日最高裁判所は、
民法における婚外子規定について、違憲との判断を下しました。
明治時代から続いていた婚外子への格差規定が解消される判決として、
ニュースでも大きく取り上げられましたので、
ご記憶の方も多いのではないかと思います。
この最高裁による違憲決定を受け、違憲とされた規定を改めるため法改正が必要になり、
平成25年12月5日に民法の一部を改正する法律が成立し、
同月11日に公布・施行されました。
この法改正により、嫡出子と嫡出でない子の相続分は同等となり、
複数の相続人の中に嫡出子と嫡出でない子の双方がいる事案については、
法定相続分が改正前と変わるため、分割協議の手続きには注意が必要になります。
この新法は、最高裁判所による違憲決定がされた日の翌日、
平成25年9月5日以後に開始した相続について適用することとされました。
相続は被相続人の死亡によって開始しますので、
同日以後に被相続人が死亡した事案に適用される、ということになります。
しかしながら、今回の最高裁判所の違憲決定においては、
平成13年7月1日から本決定の間に開始した相続について、
本決定後に遺産分割をする場合にも適用される、と判示しました。
ただし、この期間に開始した相続であっても、
すでに法的に遺産分割が確定している場合は、その効力は覆りません。
この判決に基づいては、戸籍法の改正も取りざたされましたが、
家族制度のあり方についてはいまだ多様な意見があるため、
今回は民法のみ一部改正がなされたわけです。
この改正は相続問題やその手続き方法にも大きく影響する措置だけに、
我々行政書士も常にアンテナを伸ばし、
今後も注視していかなければならないと思います。
相続に関するお手続きは、ご家族によってそれぞれ異なります。
また、無用なトラブルを避けるために、
生前に遺言書を作成しておくなどの手段もあります。
行政書士はそんな皆様の身近な相談役としてお役に立てるよう
日々努力してまいります。
ご不明な点やご心配ごとがございましたら、
お近くの行政書士までお気軽にご相談ください。
最後にあらためまして、
皆様にとって良き一年でありますようお祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。