変化する時代における行政書士の役割

 

◆衆議院解散、そして総選挙へ
2014年11月21日、安倍晋三首相は、衆議院の解散を宣言しました。
12月2日に公示をおこない、14日に投開票をおこないます。
約2年間にわたって繰り広げられてきたアベノミクスの継続の是非について、国民に信を問うことが大義であるといわれています。
この2年間、2020年のオリンピック誘致が決まったり、富士山が世界文化遺産に登録されたり、和食が無形文化遺産に認められるなど、ポジティブな情報が駆け巡り、景気の「気」は気持ちの「気」といえるくらい、「これは良い感じに景気が回復しそうだ」と多くの国民が、また、世界中の視線が向けられてきました。


今回の選挙で結果がどうなるか、この記事を執筆している11月現在では明確なことは分かりませんが、経済の見通しもとても難しく、政策立案も困難を極める時代において、行政書士がマクロに見てどのような役割を果たせるのか、特に、中小企業の皆さんにどのような貢献ができるのかについて、こういうタイミングで考えてみたいと思います。
◆選挙と政策の変化
もともと選挙は、国の意思決定のプロセスを、国民から代表者で構成される国会に委譲する機能です。
選挙で選ばれた人たちが国の方針を決めて、その方針に則って法律を制定し、予算を編成し、執行していくことになります。
しかし、誰が代表になると、どんな未来になるのか国民には想像がつきにくいため、政治家は集まって政党をつくり、「私たちはこんな世の中を目指します!」というマニフェストをつくって国民に対して選挙運動をおこなうわけです。
このマニフェストというのが国の方針の原案になりますから、基本的には国民がどのマニフェストに賛成をするのかというが大切になります。
そこで、今回の選挙でどのようなポイントが争われるかというと、安倍政権は「消費税増税をテーマに、アベノミクスを引き続き推進して良いかどうか国民に信を問う」ということを掲げましたので、社会福祉や安全保障など様々な論議をすべきポイントはあるけれども、経済政策という点に的を絞りました。
この2年間は、経済政策を全ての中心に据えて、様々な法律をつくり、予算執行をしてきました。
具体的には、金融緩和・財政支出・成長戦略の「3本の矢」といわれるものがそれです。
長く続いた円高状況を打破するために、大規模な金融緩和を日銀と共にしかけ、結果として五割程度円安に進みました。また、財政支出により成長率は上向き、成長戦略で医療や農業分野の岩盤規制を突破することが今もなお重要なミッションとして掲げられています。
こういったアベノミクスは、単に遠い経済の話しというわけではもちろんありません。
この政策によって、様々な法改正が検討され、直接的に皆さんの事業にも影響を及ぼしかねないのです。
◆岩盤規制の突破は直接事業活動にも影響が
たとえば、外国人労働者の活用一つを見ても、建設現場での活躍を期待して、在留資格の取扱いに変化が起きようとしていますが、このことにより企業は人材の活用について大きな戦略変更を検討する場面が増えるでしょう。
また、経済特区の活用によって、各地域ごとの特色ある施策を展開しやすい環境を国が整備したことで、地域毎の独自の企業支援も目立ちます。助成金や融資の環境についても、政策の影響をとても受けることになります。
このように、思いつくままにあげただけでもどんどん出てくるわけですから、事業をおこなう皆さまは、どの政党がどんな政策を打ち出し、どんな施策を打って出てくるのか、そのことはひいては自分たちの活動にどのような影響を及ぼすのか、そういったことを先を見て判断していくことが大切だと私は考えます。
でも、そんなことをフォローしていくのは、忙しい皆さんはなかなか難しいと思います。そんなとき、私たち行政書士に相談を持ちかけてみてはいかがでしょうか。
行政書士は行政手続きのスペシャリストですが、社会の変化と向き合いながら事業者の皆さんをどのようにサポートしていくか、常に頭を動かしています。なかなか自分達でフォローし続けることの難しい社会の動きを、行政書士と一緒に乗り切る、というような考えでご利用頂いている事業者様も数多くいらっしゃいます。
身近なまちの法律家というキャッチフレーズは、皆さんの伴走者として活動を共にできることも意味していると私は考えます。是非、お近くの行政書士とお話しをしてみてください。きっと、新しい発見があると思います。