児童発達支援・放課後等デイサービスの報酬改定について

 

4月から新年度が始まりました。今年は桜の開花も例年より遅いようで、本コラムをお読みいただいている皆様も、穏やかな春をお過ごしのことと存じます。

 

さて、今年度から障害福祉サービス事業に関する報酬算定構造が大きく変わります。本事業を営まれている事業者様は注意が必要です。そこで、今回は、「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」の報酬規定について、改定の概要をいくつかご紹介いたします。

 

今回の改定では、職員の確保や処遇改善につながるように、基本報酬が見直されることになりました。全体的な基本報酬の加算率の引き上げに併せて、既存の3つの処遇改善加算(処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算)を、要件と加算率を組み合わせた「4段階の処遇改善加算」に一本化されました。

 

支援時間については、30分未満の短時間の支援は原則的に算定されず、個別支援計画に定めた個々の利用者の支援時間に応じた評価が可能となるように「30分以上1時間30分以下」「1時間30分超3時間以下」「3時間超5時間以下」の3つの区分で算定されるようになります。この中で、放課後等デイサービスでは、「3時間超5時間以下」は学校休業日のみ算定できるようになります。

 

また、今回は、児童指導員等加配加算や専門的配置加算についても見直しがされています。

児童指導員等加配加算は、資格に応じた評価から勤務形態(常勤/非常勤)や児童福祉事業等に従事した経験年数により算定されることになります。

専門的支援加算と特別支援加算は統合され、専門的な支援の強化を図るために基準の人員に加えて理学療法士等を配置している場合の専門的支援実施加算と、理学療法士等により個別・集中的な専門的支援を計画的に行った場合の専門的支援体制加算の2つの区分で新たに算定されることになります。

 

さらに、質の高い発達支援の提供の推進がされています。

「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」の5つの領域を全て含めた支援を提供することが基本となります。特定領域の支援のみを提供するのではなく、アセスメント及び個別支援計画の策定プロセスから個々の障害児の状態・発達過程・特性等に応じて総合的に支援を提供することが求められています。

 

その他には、障害者虐待の防止や業務継続の取組強化のために、減算についても見直しがされています。

具体的には、虐待防止委員会を定期的に開催し、その結果について従業者に周知徹底を図り、虐待防止研修を定期的に実施して虐待防止担当者を配置しなければ、虐待防止措置未実施減算となる場合があります。

業務継続の取組強化については、必要な障害福祉サービス等を継続的に提供できる体制を構築し、業務継続に向けた計画の策定をすることが求められており、感染症または非常災害のいずれかまたは両方の業務継続計画が未策定の場合に、業務継続計画未策定減算となる場合があります。

 

以上が令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の一部のご紹介となりますが、障害福祉サービス事業を運営している事業者様や開所をご検討中の方には、内容が分かりづらい・相談先が分からないといったご不安な部分があるかもしれません。

障害福祉サービス事業の各種お手続きなどでお困りの際は、行政書士に是非ご相談ください。