ライドシェアサービスの解禁について

 

寒の入りを迎え、ひとしお寒さが厳しくなってまいりました。年が明けて1ヶ月が経ちますが、皆様の益々のご活躍を、神奈川県行政書士会湘南支部一同、心よりお祈り申し上げます。また年始早々に能登半島沖の震災、飛行機の衝突事故と大きな苦難が続いてしまいました。一日も早い復興を願うばかりです。

 

さて、去年の12月20日に開催されたデジタル行財政改革会議において、ライドシェアサービスが、2024年4月より国内で部分的に解禁されることが決定いたしました。具体的には、タクシー会社が運行管理し、車両不足が深刻な地域や時間帯に絞って限定解禁される見込みです。

 

■ライドシェアとは

ライドシェアリング(Ride-sharing)とは、一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶサービスを指し、国土交通省によって営利型と非営利型に分けられております。

今回の解禁範囲は、運行管理主体をタクシー会社とする点などを考慮し、営利型ライドシェアと定義した上で、どこまで許可されるかについての議論が中心となります。

 

■旅客自動車運送事業について

「旅客自動車運送事業」とは、道路運送法第二条3項に「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業」と定義されています。同法の第三条以降では、さらに一般旅客自動車運送事業と特定旅客運送事業に分けて詳述されています。ライドシェアは、タクシーと同じ「一般乗用旅客自動車事業」に属すると解釈されています。

 

■ライドシェアの問題点

ライドシェアサービスは、いわゆるギグワーカーと呼ばれる人々が、インターネット上のプラットフォームを利用し、自分の空き時間に単発の仕事を請け負って働くというスタイルを想定しているため、一般ドライバーの労働条件を雇用契約に限定せず、業務委託契約等の幅広い契約形態が検討されております。

これには、自家用車を使用することによる労働問題や運行管理、車両整備についての責任の所在について議論が進んでおらず、現状では自家用車のドライバーのみが運送責任を負うこととなり、安全性の確保に課題が残っている等の問題があります。

この点、旅客自動車運送事業の添付書類には、「計画する管理運営体制」という項目があり、これには運行管理者や整備管理者に関する書類の提出が含まれます。今後全面的解禁を進めるにあたり、運営体制面での法的整備も急務になるものと思われます。

 

以上のことから、ライドシェア事業が完全解禁されるにはまだまだ超えるべきハードルがありそうですが、タクシーもライドシェアも、それぞれにメリットとデメリットがあり、市場原理としては双方が切磋琢磨できる環境ができると、最終的には消費者が選択することで市場の活性化につながるかもしれません。

 

いずれにしましても、旅客自動車運送事業許可は消費者と労働者双方を守るための制度です。事業を行うにあたりご不安がある方は、是非お近くの行政書士へお気軽にご相談ください。