まつげパーマと薬事法・美容師法

 

毎日暑い日が続いておりましたが、9月に入って少し秋の風を
感じるようになりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
今回のテーマは、女性向けと言えるかもしれませんが、
「まつげパーマ」を取り上げたいと思います。
10年ほど前から、まつげパーマが流行りだしました。
ビューラーを使用しなくても、いつもまつげがクルンとなるように、
パーマをかけるのです。1時間くらいで施術は終わり、1ヶ月から2ヶ月は
パーマの効果が続くでしょうか・・・。
そして、これが世間に周知されると同時に、施術にともなう事故・トラブルの
報告も増えてきました。


もちろん利用者とすれば、安全安心なお店を選びたいですし、
これからまつげパーマを業として始めたい方も、安全安心なサービスを提供し、
法律等に違反しないお店の経営を考えなくてはなりません。
まつげパーマを業として適法に行う場合、どんな法律に注意して
おけばよいのでしょうか。簡単にご説明したいと思います。
問題点はおおよそ次の3点だと考えられます。
1,まつげパーマに使用するパーマ液が「(頭髪用)医薬部外品」なのか「雑貨品」なのか。
2,施術する人が、美容師免許を持っているのか、持っていないのか。
3,店舗が美容所としての要件に合致しており、保健所に開設届を提出しているかどうか。
1,まつげパーマに使用するパーマ液が「医薬部外品」なのか「雑貨品」なのか。
厚生労働省が平成16年9月の通知(2回に渡り通知されています)によると、
頭髪用のパーマネントウェーブ剤をまつげに使用してはいけないと
記載されています(目的外使用の禁止)。
また、頭髪用以外として使用するパーマネントウェーブ剤については、
別途その目的に対しての薬事法に基づく承認・許可が必要になることが
記載されています。
薬事法上の規制のかからない「雑貨品」としてのまつげパーマ液であれば、
法律上は使用できることになります。
2,施術する人が、美容師免許を持っているのか、持っていないのか。
美容師法第2条第1項に、「美容とはパーマネントウェーブ、結髪、化粧等の
方法により容姿を美しくすること」と定義付けられています。これは通常首から
上の容姿を美しくすると解釈されており、その時代に合わせて個々判断すべきと
されています。
美容師法は昭和32年に施行されたものであり、もちろんその時代には、
「まつげパーマ」も「まつげエクステンション(人工のまつげを使用し、
まつげを多く長く見せるもの)」もなかったのです。
そこで平成20年に厚生労働省の通知で、上記両者とも美容師法に基づく
美容行為と位置づけられ、「まつげパーマ」の施術も「まつげエクステンション」の
施術も美容師免許をもっている者しかできないことになったのです。
使用するパーマ液が仮に薬事法の規制外の「雑貨品」であったとしても同様です。
ちなみに、「ネイル」については、首から下の行為であるので、美容師法で
規制がかかることはありません。
3,店舗が美容所としての要件に合致しており、保健所に開設届を提出しているかどうか。
さて、上記1,2のとおり、「合法な雑貨品としての液も用意した」
「美容師免許をもった者もいる」となれば、すぐに開業できるのか・・・
といえばそうではありません。
「美容所の開設届」を保健所に提出しなければなりません。要件等は提出先の
保健所によって若干違ってきますが、「衛生管理が徹底されているかどうか」や
「基準以上の照明設備はあるか」など細かくチェックされ、適合していれば
開設届が受理されます。
以上、「まつげパーマ」のお店について法律面からご説明いたしました。
美容関係の施術方法や使用する薬剤等も日々進化しています。
それも速い速度で・・・。
女性である以上(もちろん男性も)、いくつになっても素敵でいたい
と思うのは当然です。
できる限りトラブルや事故は防ぎたいものですね。
お店も素敵な技術を活かして、安心安全な経営をしていただき、
利用者も自らの判断で安心安全なお店を探してもっと素敵になれば
本当に素晴らしいことです。
薬事法に関わる問題や、美容所の開設等は、行政書士に是非ご相談ください。