「標準的な運賃」の届出はお済みですか?

 

暑中お見舞い申し上げます。このコラムをご覧いただいている皆様におかれましては、熱中症対策を万全に、どうか楽しい夏をお過ごしください。

 

さて、今回は、昨今各メディアでも頻繁に取り上げられるようになっておりますが、令和6年4月1日よりスタートする運送業働き方改革(運送業2024年問題)について、ご紹介いたします。

 

現在トラックドライバーの労働時間は、他の職業に比べて平均約2割程度長く、また賃金は平均約2割程度低い、という大変厳しい労働状況になっております。これを改善すべく、今回の働き方改革が始まります。

 

まず、トラックドライバーの残業時間の上限が、年間960時間と定められ、今までより約2割程度短くなり、就労環境の改善が見込まれます。
※厚生労働省の特設サイトもご覧ください。⇒ トラック運転者の改善基準告知

 

また、運送業ではドライバー不足が深刻化しており有効求人倍率は約2倍と低迷しております。現役ドライバーの高齢化も相まって、物流を支える若者の確保も急務です。このままでは走れる時間や運べる荷物の量に影響が出てまいります。この悪循環を打破するために誕生したのが「標準的な運賃」です。(トラック輸送の「標準的な運賃」が定められました)

 

そもそも運送業の運賃は、運送会社が自由に決めて30日以内に管轄の地方運輸局長へ届け出るルールとなっております。貨物自動車運送事業報告規則第2条の2

 

しかしながら前述のように、ドライバーの労働時間を短縮しながら、運送会社の経営も持続するという一見相反することの実現のため、この告示は令和2年4月から施行され、当初は「令和6年3月31日」までを期限と定めた時限措置として誕生しましたが、今国会ではその期間が「当分の間」に延長されました。

 

この「標準的な運賃」は、運送会社の経営にかかるコストを細かく計算して、距離や時間に応じた適正な運賃を地方運輸局ごとに作成してあります。
「標準的な運賃」に基づく料金設定が浸透すると、おおよそ以下のような流れになります。

 

業界に「標準的な運賃」が浸透する

運賃が上がる

ドライバーが無理して長時間走らなくても経営が安定する

ドライバー労働時間の減り、賃金が増える

ドライバーになりたい人が増える

会社に余裕が出来て、法令を遵守する体制が整う

事故が減る

 

さて、運送会社をご経営の皆様、自社の運賃表と見比べてみてはいかがでしょうか?

 

こんな運賃もらえたらいいけど・・・と思われたら、ぜひ運賃変更届を管轄の地方運輸局へ提出いたしましょう!ドライバーの確保と待遇改善に、是非ともつなげていただければと思います。

 

そうそう、運送会社が届け出なければならないものがほかにもありますね。以前にもこちらでご案内した実績報告と事業報告です。

 

前者はすべての運送会社一律で毎年7/10までに、そして後者は各運送会社の決算日から100日以内までに、どちらも運送会社に課されている大切な届け出です。
「あっ忘れてた!」という場合は、気づいたときに早めの提出をお勧めいたします。

 

行政書士は許認可に関する専門家です。私たちの生活を支えるインフラの一つである物流を、これからも安全安心に確保していくために、行政書士もお手伝いいたします。

 

運送業に関する手続きでお困りの際は、お近くの行政書士へ、是非お気軽にご相談ください。