「マイナンバー法」 合理的な情報管理の時代に

 

海のイメージの強い湘南も、この時季はすっかりクリスマス一色。
2013年ももう終わりを迎えようとしていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
私たち行政書士には「身近な街の法律家」というキャッチフレーズがあります。
ちょっとした疑問などにも気軽にご相談いただける存在を目指して日々活動しています。
街や社会が変化すれば私たちの仕事もそれに合わせて変わっていきます。
2013年は、テレビドラマの大ブレイク、富士山の世界文化遺産登録、
東京オリンピック開催決定と、元気な話題がとても多かったように思います。
婚外子の相続分に関する制度改正も進みそうで、より平等な社会にも近づいています。
そんな中、私たちの生活がガラッと変わり得る制度も生まれました。
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、
いわゆる「マイナンバー法」の成立です。
今回は、この制度について、「マイナンバー法って?」という入門的なところを
お話しさせていただき、2014年以降どのようなポイントに注目してくと良いのかを
ご紹介させていただきます。


◆そもそもマイナンバー法ってどういう法律なの?
マイナンバーは国民一人に一つずつ付けられる番号です。
例えるならば、背番号のようなものです。この番号がカードに記載され、
社会保障や税といった分野で利用されます。法律の名前からすると行政だけで
使われるような印象を抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、民間でも使われます。
例えば、会社員の納税や社会保険料の支払いは会社が代わりに手続をしている
場合が多いですが、その際にこのマイナンバーが使われるようになります。
固有の数字で管理されることになるため、これまで省庁ごとに管理されていた税情報と
社会保険情報が紐づけられ一元的に管理することができ、行政の管理コストの節約、
つまり税金の節約につながります。
このマイナンバー制度は私たち国民にとっては、面倒な行政手続きの申請で必要とされてきた
添付書類を大幅に省略することができる、というメリットも期待されています。
個々のマイナンバーに紐づいた様々な情報(所得情報、年金情報、納税状況)を
行政は一元管理できるからです。
このように、国民の情報を効率的に管理できるようになる結果、税負担や社会保障給付が
公平に配分され、行政経営や制度設計がこれまで以上に合理的なものになるわけです。
◆マイナンバー制度で注目すべきは「保護」と「利用」の視点
 このような制度ですが、普及するには課題もあります。これまでの管理体制を
大きく変える必要があるため、導入コストが相当なものになるからです。
そのため、私たちとしては「どのようなスケジュールでどのように普及させていくのか」
という視点でニュースを見ていくことが大切です。
 この点、政府は次のようなスケジュールを描いています。
すなわち、2014年は関係諸法令や下位規則の法整備そしてシステムの構築、
2015年から実証的に運用がスタート、2016年から各種の情報の統合や地方公共団体の
利用も検討されています(『内閣官房社会保障改革担当室「マイナンバー法案」の概要』参照。)。
逆に言えば、最初は国だけがマイナンバーを利用することになるため、
大きく仕組みが変わったことを実感するのはしばらく先になりそうですね。
 また今後、地方自治体や企業の個人情報保護体制もこれまで以上に注目されます。
マイナンバーが税や社会保険の情報、勤務先の情報、さらには医療情報などの
機微な情報に紐づくことが予想されますので、情報漏えいのリスクは計り知れません。
 
現在、ビッグデータに関する議論が盛んになされていますが、情報が整理されて
管理できるようになると、私たちの生活がこれまで以上に便利になるように情報を
有効活用することが期待されますが、以上のような漏洩リスクも存在するため、
このバランスがとても大切なのです。
さて、このような動きは既に海外で進んでおり、IT化が遅れていた日本で
ようやく動き出した制度です。この動きが止まることはないでしょうが、
情報を管理されるとそれが適切な方向で進化していくように私たち国民は
目を光らせてチェックする必要があります。
このような社会の変化に対して私たち行政書士もまた時代に柔軟に
対応していくことが必要なのだと改めて自覚しているところです。
2014年以降も湘南地区の皆さんに「行政書士さんが近くにいて良かった」と
思って頂けるよう努力していきたいと思います。
本年も大変お世話になりました。皆さまにとって2014年が更なる飛躍になることを
祈願しまして、2013年を締めくくりたいと思います。良いお年をお迎えください。