食品衛生法の改正が漬物業界にもたらす影響

 

師走の候、寒さが一段と厳しさを増してまいりました。本コラム読者の皆様には今年一年、多大なるご支援を賜り、誠にありがとうございました。新たな年が皆様にとって実り多きものとなりますよう、神奈川県行政書士会湘南支部一同、心よりお祈り申し上げます。

さて、本年6月1日からHACCP(ハサップ)という国際基準に基づいた衛生管理体制(令和3年6月1日の食品衛生法改正による)の経過措置期間が終了し、全面的に実施される運びとなりました。

この変更により、漬物製造・販売業は許可制となり、衛生的な製造施設の整備が求められるようになりました。伝統的な漬物業界には多大な影響が及び、倒産リスクも拡大しています。今回は、この法改正が漬物業界にどのように影響を与えているのか解説いたします。

※法改正の詳細につきましては、厚労省の公式ウェブサイトもご参照ください。

食品衛生法改正の背景と内容

今回の食品衛生法の改正の目的は、食品の安全性を高めることです。特に、加工食品や保存食品に対しては、厳格な衛生管理体制が求められるようになりました。この改正に伴い、食品営業施設の申請および許可の基準が厳しくなり、漬物業界では伝統的な製法が基準に適合しないケースが増えております。そのため、施設や設備の改修が必須となり、事業者にとって負担が大きくなっているのが現状です。

漬物業界が直面する課題と地域文化保護への影響

伝統的な製法を守り続ける漬物業者にとって、改正後の基準に適合するための施設設備の改修や衛生管理体制の整備は大きな負担となります。特に小規模事業者にとっては、対応にかかるコストや手間が事業継続の障害となり、結果として倒産リスクが高まっております。

一方で、こうした規制強化により地域の伝統的な漬物文化が存続の危機に瀕していることを契機として、漬物業者が地域文化の維持発展と法規制のバランスを保ちながら営業を続けることにより、地域経済や伝統食の継承に貢献していくことができるのではないかと期待されております。

食品営業施設の許可申請手続き

食品営業を開始するには、以下の手順で許可申請を行う必要があります。神奈川県の手続きを例に以下に記載いたしますので、ご参考ください。

  1. 事前相談
    工事着工前に、施設の平面図を持参し、所管の保健福祉事務所で事前相談を行います。
  2. 工事着工
    施設基準に適合していることを確認し、工事を開始します。また、建物が他法令を遵守しているか関係機関に確認が必要です。
  3. 許可申請
    工事完成の2週間から10日前に、所定の申請書類を提出します。申請書類には、施設の構造設備を示す図面や製造方法の概要を記載した書類などが含まれます。
  4. 施設検査
    申請者が立ち会いのもと、施設の検査が行われ、不備がある場合は改善工事後に再検査が必要です。
  5. 許可
    施設が基準に適合していると認められると、営業許可書が交付されます。
  6. 開店(営業開始)
    営業許可書の交付後、営業をすることができます。

※詳細な手続きや必要書類については、神奈川県の公式ウェブサイトで確認できます。

事業を行うにあたり、手続きなどでご不安に思われる方は、行政手続きや許認可申請の専門家である行政書士が、皆様の事業が安心して継続できるようにお手伝いいたします。お困りの際は、是非お近くの行政書士へお気軽にご相談ください。