衣替えの季節となり、ときおり盛夏のような陽射しが照りつける日も増えてまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、先月17日、離婚後の共同親権を選択可能とする改正民法が国会で可決成立いたしました(2026年施行の見通し)。ニュースなどの報道で既にご存じの方も多くいらっしゃるかと思います。
現行の民法では、離婚をすると父か母のどちらか一方しか親権を持つことができませんが、改正された民法では父母が協議のうえ、双方が親権者となるか、一方のみが親権を持つかを選択できるようになります。共同親権を選ぶと受験や引越し、手術や財産の処分など、子供の人生の重要な選択に関しては離婚後も父母が協議し、方針の決定には双方の同意が必要となります。また、双方合意ができないときには家庭裁判所が決定するとされております。
そこで今回は、協議離婚に欠かせない離婚協議書についてお伝えしたいと思います。
離婚協議書とは、協議離婚時に夫婦で取り決めた内容を記しておく契約書です。離婚後にどちらかが定めた条件やルールを守らず、家庭裁判所での調停や審判に移ることになった場合、離婚協議書がお互いの同意を示す証拠としての大切な役割を果たしてくれます。
主に、以下の事項が協議書に盛り込むべき内容として挙げられます。
1.親権
親権とは、未成年の子供に対して、子供の利益になるように子供を監護(同じ家に住み、育てること)・教育する権利義務です。改正民法では単独親権か共同親権を選択できるようになります。
2.養育費
子供を監護していない方の親が支払う、子供の養育にまつわる分担金です。子供一人あたりの金額・入金方法・期間などについて記載します。
3.面会交流
監護権を持たない親と子供が、面会・交流することについて、回数や日時・場所、同伴者などを定めておきます。共同親権を選択すれば、子供と面会する権利をより強く主張しやすくなると考えられています。
4.慰謝料
離婚に至る過程で生じた精神的・肉体的苦痛に対する補償についての取り決めです。金額・支払期日・不履行時のペナルティなどについて記載します。
5.財産分与
婚姻中に夫婦で築いた財産を分け合うことです。資産形成の貢献度によって、割合を決めることも可能です。婚姻前から所有していた財産や相続などで取得した財産は、財産分与の対象外です。こちらも金額や支払い方法などを盛り込みます。
離婚協議書には特定の書式はなく、用紙や書き方も自由ですが、内容に不備があると法的に無効となってしまうことがあります。多くの方にとって、離婚協議書を作成することは人生で何度も経験するものではないため、作成には多くの不安と労力が生じるかと思います。
離婚協議書の作成にお悩みの方、ご不安のある方は、書類作成の専門家である行政書士へ、是非お気軽にご相談ください。