運送業の「点呼」について

 

令和5年も2月となりました。寒い日が続いておりますが、皆様どうぞ暖かくしてお過ごしください。

 

さて、今回は、運送会社さんにとって、とても大切な業務の一つである「点呼」につきまして、最新情報をお届けいたします。

 

自動車運送業においては、輸送の安全を確保するため、運行の開始前及び終了後において、運行管理者又は補助者が対面で(遠隔地を除く)点呼を行うこととされています。

 

この点、昨年末より、昨今の人手不足解消対策のひとつとして、乗務後に限り専用機器を用いた「自動点呼」が行えるようになりました。下記にその概要をご紹介いたしますので、ご参考いただければ幸いでございます。

 

具体的には、                                             

  1. 運輸局へ事前の届出が必要です。
  2. 事前に届出した所定の場所で点呼を行います。
  3. 機器は、認定を受けた機器であって有効期間内のものを使用します。

 

さらに、

  1. 点呼場所に監視カメラを設置する。
  2. 運行管理規程に記載する。
  3. 運転者、運行管理者等に対し、使い方の教育指導を行う。
  4. 機器が持ち出されないよう対策を講じる。
  5. 機器の作動状態の確認をする。
  6. 点呼の実施予定及び結果を確認し、点呼の未実施を防止する。
  7. 点呼が完了しない場合には、運行管理者等が運行状況を確認する。
  8. 携行品の返却したことを確認できる体制を整備する。
  9. 事業用自動車の不具合等、報告事項については、運転者から運行管理者等に速やかに報告する。
  10. 運転者の酒気帯びが検知された場合には、対面で運転者の酒気帯びの状況を確認する。
  11. 機器の故障等により自動点呼を行うことが困難となった場合に、対面点呼を行う。
  12. 生体認証機能に必要な生体情報等個人情報を取り扱うことについて、あらかじめ、対象となる運転者の同意を得る。

 

また、自動点呼に使用する機器の機能としては、

  1. 乗務後点呼に必要な事項の確認・判断・記録を実施できる機能を有するものであること。
  2. 運行管理者等が、運転者ごとの点呼の実施予定、当該点呼に責任を持つ運行管理の

氏名を入力し、点呼の実施状況及び実施結果を確認できる機能を備えていること。

  1. 事前に登録された運転者以外の者が点呼を受けることがないよう、個人を確実に識別できる生体認証機能を有し、生体認証が正常に行われた場合のみ、乗務後自動点呼を開始できるものであること。
  2. 点呼を受ける運転者以外の者がアルコール検知器による測定を行えないよう、測定

の開始前又は測定中に生体認証を行い、生体認証が正常に行われた場合のみ、測定できるものであること。ただし、前項の生体認証の直後にアルコール検知器による測  定を行う場合には、これを省略することができる。

  1. 運転者がアルコール検知器による測定を行っている様子の静止画又は動画及びその

測定結果について自動的に記録し、保存すること。

  1. 運転者の酒気帯びが検知された場合には、直ちに運行管理者に対し警報や通知を発する機能を有するものであり、この場合において、自動点呼機器は、点呼を完了できない仕様となっていること。
  2. 運転者が、自動車、道路及び運行の状況や交替運転者に対する通告等について、口頭で報告した内容を電磁的方法により記録し、確認できるものであること。なお、運転者が口頭で報告を行うにあたり、対話形式で報告できる機能を備えていることが望ましい。
  3. 運行管理者が運転者に対し伝える指示事項を、運転者ごとに画面表示や音声等により伝達する機能を備えていること。
  4. 乗務後自動点呼に必要な全ての確認、判断及び記録が正常に行われない場合や故障が生じている場合には、点呼を完了できない仕様となっていること。
  5. 自己診断機能を備え、故障が発生した場合には故障箇所や故障内容を表示し、運行管理者等に対し警報や通知の機能を有することが望ましい。
  6. 運転者ごとに乗務後自動点呼の実施予定時刻を設定することができ、予定時刻から事業者があらかじめ定めた時間を経過しても点呼が完了しない場合には、運行管理者等に対し警報や通知を発することができるものであること。
  7. 運転者ごとに、次に掲げる点呼結果を電磁的方法により記録し、かつ、その記録を1年間保存できるものであること

①当該点呼に責任を持つ運行管理者の氏名及び点呼を受けた運転者の氏名

②運転者の乗務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等

③点呼日時

④点呼方法

⑤運転者のアルコール検知器による測定結果及び酒気帯びの確認結果

⑥運転者がアルコール検知器による測定を行っている様子及び生体認証時の静止画又は動画(運転者の顔が明瞭に確認できること)

⑦運転者が点呼を受けている様子が明瞭に確認できる静止画又は動画

⑧運転者が報告した自動車、道路及び運行の状況

⑨運転者が報告した交替運転者に対する通告

⑩その他必要な事項

13.自動点呼機器の故障が発生した場合、故障発生日、時刻及び故障内容を電磁的方法により記録し、その記録を1年間保存できるものであること。

14.電磁的方法により記録された点呼結果及び自動点呼機器の故障記録の修正ができないものであること又は修正をした場合に修正前の情報が残り消去できないものであること。

15.電磁的方法により記録された点呼結果及び自動点呼機器の故障記録について、自動点呼機器に保存された内部形式のまま大量一括に、CSV形式の電磁的記録として出力できるものであること。

 

このように、自動点呼については、かなり細かく規定されております。

 

そして、なによりも大切な事は、乗務開始「前」点呼は依然として「対面」で行わなければならないことです。

 

運送業は点呼に始まり点呼で終わります。自動点呼が導入されても、安全確保のために確実な点呼業務を実施したいものです。

 

行政書士は、許認可に関する専門家です。運送業のことでお困りの際は、お近くの行政書士にお気軽にご相談ください。