象牙と行政書士

 

新入学や卒業、就職の季節になってきました。
新社会人の場合はこれを契機にご自分の印鑑を作る皆さんも
いらっしゃると思います。
昔から印鑑といえば象牙、水牛、黒曜石などがありますが、
一番高価なものが象牙です。
しかし、象牙の国際取引は基本的には禁止されています。
象牙の国際取引はワシントン条約で禁止されていて、これには個人で
買ったものも含まれており、国を越えて象牙を持ち出したり、
持ち込むことは禁止されています。
空港で見かける「持ち込めないもの」の中に象牙や象牙工芸品が
含まれているのは、このためです。
一方、日本国内で象牙を加工したり、販売することは、法律に基づいて
おこなわれることが認められています。ワシントン条約で禁止されているのは
国際間の取引(輸出・輸入)です。


2008年(平成20年)に9年ぶりに象牙の国際取引向けの競売が
アフリカでおこなわれ、日本と中国が輸入を認められました。
これらの象牙は寿命や病気で自然死した象の牙をアフリカの各国政府が
管理しているものです。そのため2009年(平成21年)には日本国内に
これらの象牙が輸入され、国内で加工されて流通・販売されています。
今、販売されている象牙の印鑑などはこの時に輸入されたもののはずです。
(一部にはシベリアの冷凍マンモスの牙という噂もありますが)。
象牙の国際取引には、「ゾウの保護に役立つ適正な国際取引」と、
「ゾウを絶滅に追いやる違法な国際取引」があります。
象牙輸入にはゾウの保護を考える人々と、ゾウとの共存を図りたい
アフリカの想いにより行われており、売上はゾウの保護に使われています。
日本国内では絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」
(「種の保存法」という。)に基づき、象牙製品の取引を行う事業(「特定国際種事業」
という)を行うには経済産業大臣(経済産業局)及び環境大臣に事業者としての
「特定国際種事業届出」を行い、取引について記載台帳を作成し保存することが
義務付けられています。
届出書の提出をしないで象牙製品の販売をすることは出来ません。
この届出も行政書士の排他的業務のひとつです。
行政書士の業務が幅広いことをご理解頂けると思います。
ご就職の皆さんはこの際、印鑑を作られてみてはいかがですか。