許認可が係る事業の承継について

 

2月を迎えました。一年で最も冷え込む時期です。風邪など召されぬように、ぜひ暖かくしてお過ごしください。

 

さて、今回のコラムでは、昨今何かと話題に上ることが多い事業承継についてお話ししたいと思います。

 

事業承継とは、企業や事業の経営権や資産を次世代へ引き継ぐプロセスを指します。これには、経営者の交代、株式や資産の移転、ノウハウの共有などが含まれます。そして、事業承継の際には、「許認可」の引き継ぎが可能か否かも重要な問題となります。

 

事業によっては「許可を受けた地位」を承継できる制度があります。建設業や一般貨物自動車運送事業などの許可を取得している事業者は、会社の合併や個人事業主の相続、個人事業主が法人化するいわゆる法人成りの場合に、従前の「許可を受けた地位」を次世代に引き継ぐことが可能です。一方、産業廃棄物収集運搬事業や古物商の許可を取得している事業者の場合、「許可を受けた地位」を引き継ぐことはできません。

引き継ぐことができない場合、新たに許可申請を行う必要があり、審査には時間や手間がかかることを考慮する必要があります。

 

「許可を受けた地位」を承継できる制度がある場合でも、地位を承継するためには申請が必要でとなります。申請のタイミングを誤ると許可の効力が切れてしまう場合や、承継そのものができなくなる場合もあるため、特に注意が必要です。期限を過ぎた場合には新たな許可申請が必要となり、承継に要する時間やコストが大幅に増加するリスクがあります。そのため、事業承継の計画段階で入念に準備をすすめ、必要な手続きを確実に進めることが重要です。

 

また、「許可を受けた地位」の承継にあたっては、引き継ぐ側の事業者が許可の条件を満たしているか、確認する必要があります。例えば、財務状況の健全性や設備の適合性、一定の資格を有する人材の確保などが求められる場合があります。これらの条件を満たしていない場合、許可の承継が認められない可能性があるため、事前の準備が不可欠です。

 

一方、「許可を受けた地位」を引き継ぐことができない業種については、新規許可申請の準備を早めに開始することが重要です。この場合、新規申請の審査に必要な期間を見積もり、事業活動に支障が出ないようスケジュールを立てる必要があります。

 

このように、事業承継は単に経営者の交代にとどまらず、事業の存続と発展に直結する重要なプロセスです。許認可の承継は事業の継続に大きな影響を及ぼします。これを円滑に進めるためには、経営者が計画的に行動するだけでなく、従業員や外部の専門家と連携し、承継後の体制を見据えた準備を進めることが必要です。

 

事業の承継や許認可についてのお悩みは、許認可申請が関係する事業承継の専門家であるお近くの行政書士へ、是非お気軽にご相談ください。