秋になったとはいえ、まだまだ暑い日々が続きますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
今回は、「著作権」について取り上げてみたいと思います。皆様は「著作権」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
著作権法第1条では、以下のように規定されております。
「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者などの権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」
この著作権については、イラストや執筆物、コンピューター・プログラムなどを、作った人(創作者)が第三者に譲渡する際には、その譲渡契約書に必ず記載がされます。この点については、著作権そのもののみならず、著作物を翻訳する権利や、一部脚色する権利なども考慮する必要があります。詳細な内容については細かい法令の解説が必要となりますので、また別の機会にいたしますが、後のトラブル回避のためにも、是非契約書チェックなどを行政書士へ相談されることをお勧めいたします。
さて、それではもう少し身近な例に置き換えてみましょう。
最近では、TwitterやInstagramなどのSNSがだいぶ普及して参りました。中には、テレビやインターネット配信のコンテンツなどをスマホ等で撮影したと思われる映像・画像が、シェア・アップロードされたものをご覧になった方もいらっしゃるかと存じます。実は、こうした映像・画像のシェアやアップロードは、多くの場合、著作権法違反となってしまう可能性があります。
著作権は、著作物について著作者等が有する権利の総称です。公表権・複製権・翻案権・譲渡権・公衆送信権といった様々な権利で構成されています。
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です(同法2条1項1号)。
原則として、テレビやネット配信のコンテンツは著作物にあたりますので、制作者等に著作権が認められます。
したがって、先程の例のとおり、著作権者の許諾を得ずにテレビやネット配信の撮影画面をインターネット上にアップする行為は、原則として著作権侵害とされてしまいますので、十分にご注意ください。
ちなみに、SNS等を通じて公に著作物を配信する行為は、著作権者が専有する「公衆送信権」の侵害にあたる可能性があり(同法23条1項)、テレビやネット配信の映像・画像を勝手に改変してアップした場合は、「翻案権」の侵害にあたる可能性があります(同法27条)。
また、著作権とは別に、テレビやネット配信の映像を創作した人には「著作者人格権」も認められていますので、テレビやネット配信の撮影画面をインターネット上にアップする際に、①著作者名を正しく表示していない場合は、「氏名表示権」(同人格権の一種)の侵害に当たる可能性があります(同法19条)し、②映像・画像を勝手に改変した場合は、同一性保持権(同人格権の一種)の侵害に当たる可能性があります(同法20条)。
なお、インターネット上でテレビ・ネット配信の撮影画面をアップすることが認められるのは、主に以下のいずれかに該当する場合です。
1.著作権者の許諾を得ている場合
但し、著作権者と著作者が別である場合には、著作者人格権の侵害に当たらないように、ご注意ください。
2.家族内だけでシェアする場合
但し、友人や会社の同僚等、家族以外の者と撮影画面をシェアする場合には、原則として著作権者の許諾が必要となります。
3.引用の要件を満たす場合
引用の要件は以下のとおりです。
①著作物が公表済みであること
②引用の必要性があること
③引用部分とその他の部分を明瞭に区別すること
④本文と引用部分が主従の関係にあること
⑤著作物を改変しないこと
⑥出典を明記すること
昨今、SNSの利用者の爆発的増加に伴い、インターネット上での著作権・著作者人格権侵害の事例・事件も同様に増加傾向にあります。著作権・著作者人格権を侵害する行為は、民法上の不法行為に該当しますので、場合によっては損害賠償請求をされるリスクもあります。
このようなリスクを回避するため、インターネット上での映像・画像の利用に関して少しでもご不安・ご不明な点がございましたら、お近くの行政書士に、お気軽にお問い合わせください。