空き家を相続しちゃったら

 

近年、空き家を相続した方や相続した不動産が空き家になってしまった方が増えています。相続で土地や家屋を譲り受けても、持ち家があったり、生活拠点が遠かったりして、居住しない例が多いのです。中には、物置として使ったり、ただ放置したりしているだけの方もいますが、そのような使い方をしていると思わぬ問題が発生してしまうかもしれません。

人口減少による空き家問題の増加が見込まれる中、国は平成27年に空き家対策法を施行。1年以上居住・使用実態のない建物は「空き家」として取り扱われることになりました。借り手のない賃貸物件や買い手のない売却物件、誰も訪れない別荘・倉庫・物置なども対象です。総務省の住宅・土地統計調査(平成25年)によると、対象となる空き家は全国に820万戸もあります。

中でも、①そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、②そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態、③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態、といった条件を満たした空き家は市町村により「特定空き家」に指定されるかもしれません。それに指定されると、土地にかかる税金の優遇措置が受けられなくなり、固定資産税額が6倍になるケースもあります。そのうえ、所有者は改善措置を求める行政指導・勧告・改善命令の対象になり、命令に従わない場合には市町村が強制的に改善措置を代執行することがあります。その場合の代執行の費用は、原則として所有者負担です。

それでは、空き家を相続してしまったらどうすれば良いのでしょうか。現在は問題ない空き家でも、やがては特定空き家に指定され、行政指導や命令の対象になるかもしれません。

まず、そうした事態を避ける方法として考えられるのが売却による処分です。売却をするには、その前提として老朽化した建物を取り壊すことが一般的ですが、取り壊し費用については多くの自治体が補助金制度を設けているので、それを利用できれば負担は軽減されます。また、修繕して賃貸や民泊用の物件として利活用する方法もあります。

そこで、売却や利活用をご検討の方には、行政書士へのご相談がお勧めです。行政書士は相続一般に通じているだけでなく、行政手続きにも通じています。そのため、空き家の制度や利活用、建物の取り壊しに関する助成金の活用法についてのご相談にも対応できることが多いのです。それに、空き家に関する問題は税理士・司法書士・土地家屋調査士といった他の専門家の領域も絡むことが多く、一般の方には複雑で負担が大きいでしょう。そうした場合でも、行政書士にご相談いただければ専門家の領域ごとに問題を整理し、場合によっては他の専門家につなぐこともできます。

他には、自治体が主催する参加費・相談料が無料の相談会に参加する方法もお勧めです。私たち神奈川県行政書士会湘南支部は、今年から藤沢市が主催する空き家移動相談会に参加し、無料相談に対応しています。それは他の分野の専門家も参加しているイベントなので、複数の専門家の領域が絡むことの多い空き家問題に関する相談には打って付けです。ご興味のある方はお気軽にご参加ください。