知っておきたい終活事情

 

5月になり、新たに命の芽吹く季節になりました。枯れた様な枝から木の芽が出てくるのをみつけたときは、嬉しくてわくわくするものです。

 

樹木といえば、最近では、新たにお墓の契約を検討されている方の約半数が樹木葬を希望されている、という調べもあります。新たな命の再生という思いもあるのでしょうか。初期費用を負担すればその後の管理費は不要で、永代供養もされ宗旨も問わない霊園も増えていると耳にします。昔のようにお墓を子孫に継承するという考えも少なくなってきているようです。

 

また、2020年には50歳の未婚率が男性で28.3%、女性で17.8%に達したそうです。このまま推移すると、未婚で子供がいない、または夫や妻に先立たれるなどして、2050年には全世帯の4割以上が一人世帯となり、5人に1人が孤独死を迎える可能性がある、という試算もあります。

 

こうした一人世帯、いわゆるおひとり様でもお元気なうちにできる対策があります。まずは、葬儀やお墓のことについて、生前にご自分が希望したとおりに執り行うために、任意後見契約と付随する事務委任契約を作成し、葬儀等の諸々の手続きについて取り決めをしておくこと、そして遺言書を書いて、お墓の継承や遺産相続についてもご自分の意思を残しておくことです。

 

もしかしたら、子供もなく親兄弟も既にいないが、仲の良かった親戚がいるので、亡くなった後のことはその親戚にお任せできるし、遺産も相続させることができるのでは、とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

 

ところが、遺産を相続できるのは民法で定められた法定相続人(又はその代わりとなる代襲相続人)のみであり、遺言書を残さず、法定相続人や代襲相続人もいなければ、遺産は国庫に納められることになってしまいます。遠い親戚がいて、死後の整理に尽くしてくれても遺産が相続されるとは限らないのです。

 

このような事態を予防する手立てが遺言書です。ご自分の意思を遺言書として残しておけば、財産を渡したい人に遺すことも、希望する福祉団体等に寄附することも可能です。このように、法定相続人以外に遺産を渡すことを「遺贈」といいます。最近では動物愛護団体や災害時の医療チームへの遺贈も増えているそうです。

 

さて、このコラムをご覧になっている皆様には、ぜひ早めに遺言書を作成することをお勧めいたします。遺言書は自筆証書遺言(手書き)でも遺せますが、法律上無効となるリスクを避けるため、正確で安心できる公正証書遺言の作成が安心です。

 

遺言書の書き方の注意点や必要事項の確認もしっかりしておきたい、また、亡くなったときのことだけではなく、認知症や体が不自由になったときのことも決めておきたい、とお考えの際は、終活の専門家である行政書士に、ぜひお気軽にご相談ください。