相続に関する戸籍の収集

 

7月になりました。今年も半分を過ぎ、私たち湘南支部のある湘南地域では、本格的な夏を
迎える準備で活気を帯びてきました。

さて、今回のテーマは相談会でもご相談の多い、相続に関する内容から、戸籍の収集に
ついてお送りいたします。

相続が発生したとき、遺言書がない場合には、相続財産をどのように分けるか決める際に、
相続人の特定が必要となります。そのためにはお亡くなりになった方(被相続人)の
「出生時からの」戸籍が必要です。出生時からの戸籍を集めるためには、現在の戸籍から
順番にさかのぼっていきます。

死亡届を被相続人の住民票のある市区町村へ届け出ると、戸籍に反映されます。
戸籍は被相続人の本籍地の市区町村で取得できます。郵送も可能です。最新の戸籍を取ると、
被相続人の死亡の記載がありますが、そこに被相続人の出生時の記録がなければ、その前の
戸籍を見なければなりません。
なぜかというと、戸籍は、戸籍法が改正されるたびに、様式が変更になり、新様式に書き
換えられてきました。たとえば、離婚によって母と子が父の戸籍から抜けると、父の戸籍には
バツ印や離婚についての記載がされますが、その後法改正があり新様式に書き換えられると、
離婚の記載が消えるので、新様式の戸籍だけでは子の存在が正確に把握できません。
そこで、この書き換え前の戸籍が必要となります。この書き換え前の戸籍を「改製原戸籍」と
言います。(「原戸籍」の読み方は現行の戸籍(現戸籍)と区別するため「はらこせき」と
読みます。専門家は「はらこ」と略したりもします。)
また、結婚や離婚、死亡などで戸籍から出ていき、戸籍内の人が誰もいなくなった戸籍を
「除籍」といい、その写しを「除籍謄本」と言います。たとえば、被相続人が婚姻で別の
戸籍に出て、その後に父母が亡くなれば誰もいなくなり、その戸籍は除籍となりますが、
被相続人の出生時の記録はこの除籍に記載されているので、この除籍謄本までさかのぼら
ないとたどり着きません。
なお、配偶者の有無にかかわらず、被相続人に子どもがいない場合は、被相続人の兄弟
姉妹が相続人になりますが、他に兄弟姉妹がいないか確認するため、被相続人の「親」の
出生時から現在までの戸籍が必要です。
また、相続人が死亡している場合は、その「相続人の子」が相続人となります。「相続人の子」
(代襲相続人と言います)を確認するために、死亡している相続人の出生時から死亡までの
戸籍が必要です。

このように、一言で「戸籍を集める」と言っても、誰の戸籍をどこまで集めればいいのかは、
意外と複雑になっています。

行政書士は遺産分割協議書作成のお手伝いをする際に、戸籍を確認します。また、相続人の
依頼があれば、戸籍の収集もできます(ただし、職権取得は依頼業務以外ではできないよう
厳しく監督されています)。
相続が発生した際は、行政書士にご相談いただければ、何をどのように進めればよいかなどの
アドバイスをすることができます。必要があれば他士業(税理士や司法書士など)をご紹介
したり、連携してお手伝いします。
身近な街の法律家、行政書士をぜひご活用ください。