9月になりましたが、まだまだ暑い日が続いております。いかがお過ごしでしょうか。
さて、企業では、新型コロナウィルス感染症拡大防止対策として「テレワーク(在宅勤務))」が広く導入されるようになりました。しかしながら、社内から持ち出すことのできない印鑑の「押印業務」のため、テレワークができない方もいらっしゃる…という話をよく耳にいたします。
私たち行政書士も書類作成が主な業務であり、押印は書類完成に不可欠なことが多いので、出社せざるを得ない方々のご苦労はよくご理解できます。
そこで政府(内閣府・法務省・経済産業省)は、テレワーク推進の観点より、6月19日付けにて「押印についてのQ&A」という文書を発表いたしました。(http://www.moj.go.jp/content/001322410.pdf)
この文書では、「契約書の押印は必ずしも必要なものではない」としています。契約書への押印は、契約の成立要件とはされていないことや、押印のない契約書であっても契約の有効性は電子署名やEメールの履歴などで証明できること等が理由として説明されています。
政府がこのような見解を示したので、「これからはもう出社して契約書に押印する必要はない!」と考えることもできそうです。しかし「電子署名導入の手間(契約の相手方含む)」「Eメールなど証拠保存の手間」「契約の有効性が争われたときの証明力」を考えると「出社して押印した方が確実ではないか?」ともいえ、判断に困る方が多いのが実情ではないでしょうか。
「契約書」の他にも、従来からの押印書類は多く存在いたします。「押印が省略できるか」ついての観点から分類すると、「社内決済文書」など、他の手段により押印の代替がしやすいものもあれば、「自筆証書遺言」等のように、押印が法律上必須の書類もあります。また「官公署に提出する申請書類」は行政機関により電子化の対応がまちまちです。政府見解にない押印書類についても、「押印を省略できるか」の判断が難しいことが多いのではないでしょうか。
時代の流れとして、IT技術の発展・普及により「押印書類」は減っていくと予想されます。しかし、現在はその過渡期にあり、「押印書類」の内容(法律の規定、作成の頻度、代替手段等)により、個々に「押印しなければならないか」を判断しなければなりません。
私たち行政書士は官公署に提出する許認可等の申請書類の作成、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成等を行う専門家です。押印の問題についても、書類内容に応じてアドバイスが可能です。お気軽にご相談ください。
最後に、新型コロナウィルス感染症拡大がなかなか収束しておりませんが、一刻も早く皆さまが安心して仕事を継続できる環境となることを願っております。