建設業許可申請手続きに関する改正について

 

数多くある行政書士業務の中でも、特にポピュラーな業務として、
建設業の許可申請があります。
大手のゼネコンから街の工務店まで、とても関係の深い許可のひとつですが、
本年5月1日に公布された「建設業法施行規則の一部を改正する省令」により、
この11月1日から許可申請手続きに一部変更が行われました。


今回の改正は、建設業界にある保険未加入問題への対策の一環として、
許可申請(更新申請を含む)時に健康保険等の加入状況を記載した書面が
求められるものとなります。
これは、一定の加入要件に当てはまる法人や個人事業主の社会保険(厚生年金・
健康保険・雇用保険)加入義務を重視し、未加入者に対し、その申請時の報告を
もって、加入を指導するものとなります。
いかに社会保険の未加入業者が多いのかということを物語る改正でもあるのですが、
複雑な社会保険制度設計と、いままでの縦割り行政から保険未加入が見逃されて
きたというところにも問題があり、未加入業者だけの責任でもないのかも知れません。
建設業の経営事項審査(入札資格を得るために必要な審査)申請においては、
一足先に7月から、この社会保険の加入状況における評価の差(減点幅の拡大)を
つけて審査されております。
また、元請業者からは、下請業者に対し、社会保険の加入指導をするよう
義務付けられております。
これにより、建設業界におけるコンプライアンス向上につながれば、
業界全体での、より一層の品質向上にもつながることが考えられます。
しかし反対に、未加入業者は保険加入により支出が増えて経営が圧迫されるため、
収益構造の改善が必要な事業者が現れることも想定されます。
従いまして、今回の改正では、未加入をもって許可がなされない「許可要件」と
するものではなく、「確認事項」にとどまる経過措置的なものとなっているようです。
許可申請にあたっては正確な情報収集が必要となるとともに、
申請書に添付する書類は、より複雑になってまいります。
ご不明な点があるときは、ご遠慮なく、お近くの行政書士までお問合せください。