国籍と行政書士

 

昨今、訪日観光客の増加や、オリンピックを来年に控えて、この湘南の地でも多くの外国の方々を見かけるようになりました。

私達、行政書士の業務の中でも、外国の方々の日本への滞在の助力となる業務があります。一般的に査証(ビザ)や永住権、帰化といった業務です。

ここで、外国の方々と我々で大きく異なる点は、「国籍が違う」ということです。それでは「国籍とはなんだろう?」というテーマについて、この場をお借りして、なるべく簡潔にお話ししたいと思います。

皆様が普段、日本国内で生活をしている限り、自分の国籍について、あまり意識することはないと思います。ところが、例えば、海外に駐在されたり、国際結婚をされたりすると、自分が日本国籍であることが途端にクローズアップされてまいります。

世界中の人々は、大半が原則として、国籍によっていずれかの国に所属しており、それぞれの国には、その国と個人を結びつける「国籍法」という法律があります。

その国籍法は、世界的にみて大きく2つに分類することができます。一つは、ある国の領土の中で生まれた子は、その国の国籍を取得できるようにするという「生地主義」、もう一つは、生まれた子の親がある国の国籍を持っていれば、その子もその国の国籍を取得できるという「血統主義」と呼ばれるものです。生地主義は、類型的に移民の多い国家が多く採用している、といわれております。ちなみに、我が日本では血統主義が採用されております。

国籍法には、おおまかに2つの点について定められています。それは、国籍の「取得」そして「喪失」の場合です。国籍の取得とは、簡単に言えば、両親のどちらか一方が日本人である場合、日本の役所に出生届を提出することで、日本の国籍を得る、ということです。

それでは、国籍の喪失とはどんな場合でしょうか?わかりやすい事例としては、外国籍の方と日本国籍の方との間に生まれた子の国籍を決めるケースです。

生まれた子は、その時点では一般的に複数の国籍を持っています。日本では、満22歳になるまでに、日本国籍か外国籍のいずれかを選択するように定められています。そこで、外国籍を選択した場合は、日本国籍を失う事になります。これが、いわゆる国籍の喪失です。但し、外国で日本国籍と外国籍の両親のもとに生まれ、外国籍を取得した子は、日本大使館等への「国籍留保の届出」がなければ、自動的に日本の国籍を失います。

このように、国籍法について述べてきましたが、行政書士が国籍の取得に大きく関わる業務があります。それは長年、日本に住み続けている外国籍の方が、日本国籍を取得する場合、いわゆる「帰化申請」です。神奈川県内でも、多くの行政書士がこの申請を業務として取り扱っております。

我々行政書士は、日本に滞在する外国の方々の一助になるように、日々努力し、業務に邁進しております。このコラムをお読み頂いた方々も、日本の滞在でお困りの外国の方々を見かけたら、是非、行政書士のことを思い出していただければ幸いでございます。