10月の始まりを迎え、すっかり秋の気配が感じられる季節となりました。気温の変化に伴い、体調管理に気を付けたい時期でもあります。この時期は、企業にとっても新たな展開や人材確保が重要な課題となります。今回は、日本の産業が直面している人材不足の現状と、それに対処するための特定技能制度についてご紹介いたします。
人材不足が深刻な日本の産業と特定技能制度の活用
近年、日本の多くの産業が深刻な人材不足に直面しています。特に、高齢化社会の進行や若年層の労働市場への参加が減少している中で、現場で働く労働力が圧倒的に不足している状況です。このような背景から、さまざまな業界で外国人労働者の受け入れが重要な選択肢の一つとなっています。
特定技能制度とは?
特定技能制度は、2019年4月から新たに導入された制度で、特に人手不足が深刻な業種において、より多くの外国人労働者を受け入れるための仕組みです。この制度は、一定の技能を持つ外国人が日本で働けるようにするもので、受入れ企業にとっても大きなメリットがあります。
これまでの技能実習制度が、国際貢献を主な目的としており、外国人が現場を通じて技術を取得した上で帰国し、母国に技術を広める点に主眼が置かれていることに対し、特定技能は外国人を人材確保が困難な分野に現場の即戦力として受け入れることを目標としています。制度の概要については、以下の外務省のホームページもご参照ください。
特定技能1号と特定技能2号の違い
特定技能1号と特定技能2号は、外国人労働者が日本で就労するための在留資格ですが、いくつかの重要な違いがあります。
- 特定技能1号
主に、特定の技能を持つ外国人が5年間の在留資格を得て、日本で働くことができます。これには、一定の試験に合格する必要があります。ただし、家族の帯同は認められていないことには注意が必要です。 - 特定技能2号
特定技能1号での就労経験がある者が昇格する形で取得でき、無期限の在留が可能です。また、要件を満たせば家族の帯同も許可される可能性が高いものとなっております。特定技能2号では、より高い技能が求められるため、業務の範囲も広がります。このため、特定技能1号から2号に昇格することで、長期的なキャリアを築くことが期待されます。
特定技能1号へのルート
特定技能1号になるためのルートは主に2つあります。それぞれの詳細は以下のとおりです。
- 技能実習からのルート
技能実習制度を経て、一定の技能や経験を持つ技能実習2号修了者は申請を経て特定技能1号への移行が可能です。対象の技能実習生は、実習を通じて日本での業務に必要な技能を習得しているため、スムーズに特定技能1号としての就労が可能です。 - 新規の外国人労働者としてのルート
新たに日本で働くことを希望する外国人は、日本語試験と各分野で定められる技能試験に合格した上で、特定技能1号の在留資格を申請します。
特定技能制度の対象職種
特定技能制度は以下の職種が対象となっています。
- 介護(1号のみ。介護福祉士等の資格取得により、在留資格「介護」に変更可)
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業(旧名:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
(上記の他、自動車運送業・鉄道・林業・木材産業が、省令改正等を経て受入れ開始予定となっております。)
これらの職種は、日本国内での人手不足が深刻なため、特定技能制度によって外国人労働者の受け入れが奨励されています。
特定技能1号の在留資格と上限期間
特定技能1号の在留資格の期間の上限は、通算で5年間です。はじめから5年分の在留資格を与えられるわけではないので、期限までにその都度更新が必要です。特定技能1号の外国人は、その後、特定技能2号への昇格を目指すこともできます。特定技能2号に昇格すると、在留期間の上限はなくなりますが、こちらも定期的な更新は必要です。このため、引き続き在留資格を維持するための手続きは欠かせません。
特定技能1号外国人の受入れに必要な流れ
特定技能1号の外国人を受け入れるための具体的な流れは、以下の通りです。
- 登録支援機関への委託契約
受入れを希望する企業は、特定技能制度に基づいた登録支援機関と連携することが重要です。登録支援機関は、外国人労働者が安心して日本で生活できるよう、生活面での支援を中心に行っています。外国人受け入れ実績のない企業は法令上必然的に支援業務を委託しなければなりません。
登録支援機関は、外国人労働者が日本での生活に適応できるよう、住居の手配の補助や日本語教育、文化的な理解を深めるプログラムなどを提供します。これにより、外国人労働者は安心して業務に集中できる環境が整います。登録支援機関は日常生活のサポートに特化しているため、行政書士等の専門家を交えたチームワークで進めることが必要です。 - 募集要項の作成
受入れ企業は、必要な人材の条件や業務内容を明確にした募集要項を作成します。 - 外国人の選定
外国人から求人に直接申し込むか、ハローワーク・民間の職業事業者によるあっせんを受けます。その後雇用契約の締結や事前ガイダンスを実施します。なお、建設分野に関しては、受入れ開始後速やかに、建設キャリアアップシステムへの登録や建設技能人材機構(JAC)への入会申し込み、国土交通省への1号特定技能外国人受入報告書の提出(オンライン申請)などが追加で必要となる為、充分な時間の余裕をもって準備する必要があることに注意が必要です。 - 在留資格の申請
外国人労働者の在留資格を申請します。 - 受入れ後のサポート
外国人労働者が日本に到着した後も、受入れ企業は生活面等での支援を行うことが必要となっております。
まとめ
日本の多くの産業が人材不足を解消するためには、特定技能制度を活用し、外国人労働者を受け入れることが今後不可欠となってまいります。この制度を通じて、多様なバックグラウンドを持つ人材が日本に集まり、各業界の活性化に寄与することが期待されます。
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