3月になりました。そろそろ桜の開花予報も気になる頃ですが、雪解けが進み、春が近づくというのは嬉しいものです。暖かくなってくると、重い腰を上げ身の回りの片付けや掃除をしようと思い立つ機会も増えそうです。
そんな折に、断捨離で不要なものを捨て終活に向けて生活を見直す方もいらっしゃるかもしれません。終活と聞くと、遺言書やエンディングノートを書くことが真っ先に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。これを機会に、是非デジタル終活についても考えていただければ幸いでございます。
いまや、パソコンやスマートフォンは私たちの生活に欠かせないものとして、仕事や趣味、ネットバンキングでの取引、コミュニケーションツールとしてあらゆる場面で利用されています。しかしながら、利用するたびに膨大なデジタルデータを作り出し蓄積していることについては、立ち止まって考えてみる機会はあまり多くはないのかもしれません。
さて、デジタル終活とは、このように生前自分が蓄積したデジタルデータを整理し、死後の処理方法を計画する活動です。持ち家や現預金などの物理的な遺品整理と並び、現代社会においてその活動の重要性が年々増してきています。
具体的には、早めに必要のないデータやアプリケーション、アカウントなどを削除し、また少なくとも自分の死後、遺族がそのデータにアクセスできるようにIDやパスワードなどを整理し残しておくことが必要となってきます。
家族が急逝することは誰しも想像したくないものですが、万が一の場合スマートフォンのパスワードが分からなければ、アプリひとつを開けて見ることもできません。
一例ですが、ご主人を亡くされたある奥様が運営会社にパスワードを開示請求しましたが、亡くなったことを証明しても決して教えてはもらえず、スマートフォンにご主人の遺言や思いなどが残っているかもしれないとの未練が残りましたが、結局確認することを諦めたとのことでした。
時間とお金をかければスマートフォンのロックを解除してくれる業者もあるようですが、最近ではロックが複雑になっており、解除まで長い期間や高額な費用がかかることもあるそうです。
また、ロックが解除できても有料のアプリやゲーム、サブスクリプションなどは、亡くなった後も解約されるまで課金請求され続けます。さらに、ネット銀行やネット証券を利用されている場合は、ご遺族が口座のあることさえ知らず、休眠口座となってしまうこともあり得るでしょう。
ご自分の死後、そんなデジタルロックを開けられるように、せめて身近なご家族にスマートフォンやパソコンのID・パスワードなどの大切な個人情報を伝えておくか、遺言書などに書き残すことをお勧めいたします。
大切なものやデータは、身近で秘匿性の高いスマートフォンやパソコンに入れておけば安心だと思われている方も多いと思います。その思いがかえってご遺族を悩ます種とならないように、本コラムをご参考いただけると大変嬉しく思います。
遺言書作成や終活について、不安や疑問をお持ちの方は、身近な街の法律家である行政書士へ是非お気軽にご相談いただければと思います。藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町では、常設の無料相談も実施されておりますので、是非ご活用ください。