4月に入り、新年度となりました。新たな気持ちになるとともに、職場などの歓迎会でお酒のお付き合いが増える時期ではないでしょうか。ということで、今月はお酒にまつわる許認可についてお話しさせていただきます。
さて、あなたがもしお酒を買う立場ではなく、事業者としてお酒を販売することになった場合、その提供方法によって必要な許可がそれぞれ異なることはご存じでしょうか?
提供方法による許認可の違い
お酒の提供方法は、「開栓して提供する場合」と「未開栓のまま提供する場合」の2種類に大きく分けられます。
(開栓して提供する場合)
「開栓して提供する」とは、文字どおり、お酒の蓋を開けてグラスやジョッキに注いで提供することを指します。(例として、居酒屋、バー、レストランなどの飲食店での提供)
この場合、食品衛生法に基づく「飲食店の営業許可」が必要です。許可の申請窓口は、店舗の所在地を管轄する保健所となっております。
(未開栓のまま提供する場合)
「未開栓のまま提供する」とは、瓶や缶など、容器に入ったままのお酒を提供することを指します。(例として、酒屋・コンビニ・スーパーなどの小売店での販売、飲食店でのテイクアウト用のお酒の販売、ECサイトなど、インターネット通販での販売)
この場合、酒税法に基づく「酒類販売業免許」が必要です。許可の申請窓口は、店舗の所在地を管轄する税務署となっております。
なお、上記の「飲食店の営業許可」と「酒類販売業免許」は、いずれも行政書士が申請サポート可能なものとなります。今回は、後者の「酒類販売業免許」について、さらに深掘り解説いたします。
酒類販売業免許とは?
酒類販売業免許は、先程お話ししたとおり、未開栓のお酒を販売するために必要な免許です。
酒類販売業免許は、販売するお酒の種類や販売方法によって、さらに細かく分類されています。
(免許区分の例)
一般酒類小売業免許
近隣の消費者へお酒を小売販売する最もオーソドックスな免許区分です。この免許区分で最もわかりやすいのが酒屋さんやコンビニにおけるお酒の販売です。
最近では飲食店が通常の飲食営業に加えて、お酒をテイクアウト販売したいという需要も増えており、その場合はこちらの一般酒類小売業免許を取得することになります。
通信販売酒類小売業免許
インターネットで全国の消費者へお酒を小売販売することができる免許区分です。ウェブ上のECサイトでお酒を通信販売したい場合などが該当いたします。
なお前述の一般酒類小売業免許では原則通信販売ができないため、「店頭での小売販売もやりつつ、通信販売も並行して行いたい」というケースでは、2つの免許区分を同時に取得することになります。
今回は比較的申請をされるケースの多い2種類の小売業免許を挙げさせていただきましたが、それ以外にもお酒を輸出入する「輸出入酒類卸売業免許」、海外産のお酒を卸売販売する「洋酒卸売業免許」、プライベートブランドのお酒を卸売販売する「自己商標酒類卸売業免許」といった卸売業免許もあります。
もし事業者の方がお酒を販売する免許申請を検討される場合、最初に「小売か?卸売か?」「販売先は誰か?」「どこから仕入れるのか?」等の希望を踏まえた上で、適切な免許区分を判断しなければなりません。
われわれ行政書士は、許認可申請に関する専門家です。酒類販売業免許の取得を検討される場合は、事業計画の相談なども含め、ぜひ事業の構想段階からお近くの行政書士にご相談いただければ幸いです。