「議事録」で企業法務もガッチリ!

 

みなさん、こんにちは。
なんだかすっきりしない日が続いていますね。

私は、家の洗濯係を仰せつかっているのですが(物事の選択権はありません。)、梅雨の時期は、雨が降るのかどうか、降らないとしてもどれだけの時間干していられるかという難しい条件の中で、何を優先に(タオルなのか、下着なのか)、どのような分量で選択をするか(1回に詰め込むか、2回に分けるか)、常に選択と集中を心がけて最もベターな方法を考えています。

また、ただ洗濯物が干せれば良いというわけではありません。
ジメジメするこの季節、せっかく綺麗に選択をするからには、香りにも気を配りたいですよね。我が家では、季節に応じて柔軟剤の香りにも家族と協議を重ねて適切な選択を行っています。

このように、快適に過ごすためにも、合理的な判断をしなければなりません。

1.議事録は合理的な判断を固定化するもの

これは仕事においても同様です。
会社を経営する上で、何をどこから、いくらで、どのタイミングで仕入れるのか。
人材をどのように育成して、どの時点で活躍させたいのか。
荒れ狂う時代の文脈の中で、経営計画をいかにたてるのか。

これらを適切に判断して記録として残し、実行していく。
実行する中で更なる判断に迷ったときに、考えの拠り所となるのは、考え抜いた時点での「決定事項」です。このような決定事項を、きちんと書面で残すこと、それが「議事録」の目的です。

小規模な会社では、通常は社長の一存で物事が決まっていくため、判断や決定を書面に残すプロセスがおざなりになることが少なくありません。そのため、議事録が表面的に求められる機会がほとんどなく、会社の定款を変更するときや、登記を変更するときくらいしか準備されないことがほとんどだと思います。実際、議事録って?と言われることもあります。

でも、先ほども書いたように、物事の決定プロセスを書面に固定化させるのが議事録です。
もし、議事録に固定化されていないとすれば、その時々で社長の判断が変わっていき、事業がブレてしまいます。もっと言えば、関係者は振り回されてしまって、社長の決定に対する信頼度はどんどん下がってしまいかねません。

そうならないための議事録です。
いかがでしょうか、ちょっと「大切っぽいなぁ」と思っていただけましたでしょうか?

2.会社法上の「議事録」にはルールがある

実はこういう判断を固定化する議事録にも、法律のルールが定められています。

え、会社内の書類なのにルールがあるの?

と思われる方もいるかもしれませんね。でもルールがあります。
最低限のフォーマットを決めておかないと、第三者が見たときに適切に組織として決定されているかどうかの判断がつかないからです。

そこで、法律上「議事録」は次のように定められています。

株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。(会社法318条第1項)

会社法では、株主総会で決議すべき事項、決議方法、招集手続き、議事運営の方法について定めを設けています。これらの定めに則って会議が運営されることで、適切な判断がなされたことを制度として担保しています。そのプロセスがきちんと経てなされたかどうかを、ここの「議事録」で証拠として残すのです。

同様に、

取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。(会社法369条第3項)

取締役会を設置している会社では、取締役会の議事録の定めもあります。やはり、株主総会と同様の趣旨です。

3.第三者も見ることができる「議事録」

議事録は、会社内だけでなく第三者にも見られるものです。
作成した議事録は本店に置いておく必要がありますし、株主は議事録の閲覧や謄写(書き写すこと)もできます。場合によっては、裁判所の許可を得て、債権者もそれを請求することができます。
だからこそ、きちんとしたルールに則った議事録が作成されていないといけません。

これ以外にも各種の手続きで議事録のコピーを添付する必要があります。きちんと会社法に則った決定をなされていないと、他の手続きも受け付けられないからです。

このような議事録を会社としてきちんと残しているところは、やっぱりしっかりとした会社ですし、ご活躍されているように思います。

行政書士は、議事録の作成も業務として行なっております。
議事録について、お困りの場合は、ぜひお近くの行政書士にご相談ください。