SNSと肖像権

 

 皆様、いかがお過ごしでしょうか。今年の晩夏は台風による災害が各地で発生し、家族・親戚・知人などの様子をご心配されている方も多いのではないでしょうか。被災地の方々が少しでも早く日常の生活を取り戻せますよう、心よりお祈り申し上げます。

 さて、今回は私たちにとって身近な存在であるSNSと肖像権の問題についてお話いたします。

 例えば、Facebookや友人のブログなどを何の気なしに見ていたら、自分が写りこんでいる画像がアップされていて、「いつ写真を撮られたのだろう?」とびっくりしたことはありませんか?横を向いてしまっていてカメラに気づいていない場合など、少々写りが悪くてちょっと恥ずかしいな・・・なんてことを経験された方も多いのではないでしょうか。
 
 友達同士なら、「恥ずかしいから削除してもらえないかな?」と気軽にお願いできると思いますが、万が一、見ず知らずの人が勝手に自分の写真をFacebookやブログなどにアップしていたら、場合によっては不愉快ですし大問題に発展する可能性だってあります。
 
 法律的にどのような点が問題になり違法と判断されるのでしょうか。もし自分がその立場になって困ってしまった時、どのように対処すればよいのでしょうか。

 人は他人から無断で写真を撮られたり、その写真を無断で公表・利用されたりしないように主張できる権利があります。これを肖像権といいます。プライバシーの問題も同時に関係してきますが、ここでは肖像権についてお話したいと思います。
 肖像権は、著作権のように法律に明文化されてはいません。判例というものによって認められています。(肖像権は「人格権」及び「財産権」としての二つの側面がありますが、今回のお話は「人格権」に関係する権利のみになります。)
 
 肖像権が認められる、すなわち「その写真の掲載は、肖像権の侵害である」と主張できうるケースはどのような場合なのでしょうか。
 
 対象がどのような写真なのかという簡単な基準が次の1から3になります。(前提として被撮影者の同意はすべてにおいてありません。)
 1、自分(被撮影者)だとしっかり特定される写真を撮られた。
 2、風景など全体的な写真を撮ったが、小さく自分(被撮影者)が写り込んでしまった・・というわけではない。
 3、1及び2に加え、その写真をFacebookやブログなどに掲載するなど、拡散の可能性が高いところに公表された。(1及び2のみでも肖像権の侵害にあたりますが、3が加わることでより違法性により強く影響します。)

 以上の1から3を踏まえて、「被撮影者の社会的な地位や撮影された場所・内容」と、「撮影者の撮影の目的・必要性・どのようにして撮影されたか」、その双方を材料にして「被撮影者の人格的な侵害がどの程度か、社会生活上どの程度の不利益を与えるか」ということを判断されます。
  
 例えば、「他の人が公園で記念写真を撮っていて、その背景とともにたまたま通りかかった自分が写り込んでしまった。撮影者はその写真を一緒に撮った友人に現像して渡した。」場合と、「飲み会で泥酔して寝込んでしまった友人の顔に落書きをした上で撮影し、その写真をからかう目的で勝手にFacebookにアップしてしまった。」場合とでは侵害の度合いが違うため、判断が分かれてくるだろうと思われます。
 
 その画像の持つ意味や目的により、たとえ撮影者が悪意でなくてもと侵害にあたると判断されることもありますので、撮影する側もされる側もちょっとした配慮や注意が必要であると思います。友達であるなら、写真を撮影する前に一言、「この写真、ブログに載せてもいい?」と確認をするとか、「私が写っている写真、恥ずかしいから人に見せないでね」などと事前にお願いしておくのもいいでしょう。
 
 しかし、どんなに気を付けていてもトラブルになってしまうこともあります。自分の写真が無断で掲載されてしまい、不利益を被った場合どのような法的対処をすればよいのでしょうか。まずは写真の削除を求める「差止請求」をし、その写真の掲載によって損害が生じたならば「損害賠償請求」も可能です。

 身近に起こってしまったトラブルなどでお困りの場合は、いつでも行政書士にご相談ください。的確なアドバイスを心がけて、解決に向けサポートしてまいります。