自筆証書遺言の方式緩和

 

2019年、平成最後の年が明けて早1か月、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

インフルエンザも猛威を振るっていますので、くれぐれも体調にはお気をつけくださいね。

 

さて、2019年は、民法(相続関係)改正法が段階的に施行されます(一部2020年4月施行あり)。

先日、そのトップバッターとして「自筆証書遺言の方式緩和」が1月13日に施行されました。

 

遺言書の作成方法として一般的に検討していただきたいのが、自分で書く「自筆証書遺言」と公証役場で作成する「公正証書遺言」の2つになります。今日は「自筆証書遺言」にスポットライトをあてて書きますね。

 

自分で書く自筆証書遺言は今までの民法では一言一句自分で書かないと認められませんでした。そこが今回の改正民法で、財産の特定に必要な事項、つまり財産目録に関して、自筆によらなくても要しないとされ、パソコンによる記載や、不動産の全部事項証明書や預金通帳の写しを添付する方法でも良いと緩和されています。そして、このような自筆によらない財産目録部分を遺言書に添付する場合は、その全ページに遺言者は署名・押印が必要なのでご注意ください。

方式緩和といっても、財産目録部分のみで、どのように自分の財産を遺していきたいのか、誰に遺したいのか、遺言の核心の部分に関しては、あくまでも自筆で書いて頂かないと認められませんので、そこのところは要注意ですが、沢山の財産をお持ちの方はかなり楽になるのではないでしょうか。

 

また、今までの民法では、自筆証書遺言を自分で保管し、遺言者が亡くなった後、家庭裁判所での検認手続きを経なければ遺言の内容の通りに手続きを進めることが出来ませんでした。つまり、せっかく書いた遺言書だったのに、紛失してしまったり、偽造変造のおそれがあり、検認手続きを経ても遺言書の真正をめぐる相続人間の紛争が絶えなかったわけです。そこで「法務局における遺言書の保管等に関する法律」、通称「遺言保管法」が新設され、法務局において自筆証書遺言を保管する制度が創設されました。法務局で保管してもらった自筆証書遺言は家庭裁判所の検認手続きが不要になりますし、本人確認をきちんとして保管されていますので、遺言者が亡くなられた後相続手続きをスムーズに進めることができるようになるはずです。この遺言保管法は昨年7月13日に公布され、そこから起算して2年を超えない範囲内における政令で定める日から施行となっています。

 

自筆証書遺言を検討されていらっしゃる方は、この方式緩和と法務局における自筆証書遺言の保管制度を上手に使ってくださいね。

 

 

我々行政書士は、このような相続法の改正について、講習会・勉強会をしながら日々知識を深め、皆さまにご満足頂けるよう努めています。是非、お近くの行政書士にお気軽にご相談ください。