自筆証書遺言に関する改正について

 

5月になりました!

春を飛び越して、初夏のような陽気が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、5月といえばゴールデンウィークですね。皆様の中にもご実家に帰省されて、親孝行をする予定の方もいらっしゃるかと思います。

その様な機会に、ぜひご両親にお話しをして頂きたいのが、今回のテーマである『遺言』についてです。

「せっかく休暇で帰省してるのに、そんな暗い話はしたくないよ!」と思われるかも知れませんが、そんな重要な話だからこそ、電話ではなく面と向かってじっくりと話をして頂きたいのです。

何故なら『遺言』は、親が家族に宛てた『最後のラブレター』といえるもので、遺産承継手続き(相続手続き)をスムーズに進めるためには必要不可欠なものだからです。

私も業務で手続きをお手伝いさせて頂くことがありますが、「遺言があればもっと上手くいくのになぁ」と思うことが多々あります。

特に相続人以外に財産を渡したい場合や慈善団体等に財産を寄付したい場合、遺言は必須です。
また、相続人同士の仲が悪かったり、お互いの連絡先も分からないくらい疎遠だったりする場合も、遺言を作成しておく必要性が高いと言えます。

もしそのような場合に遺言を作成していないと、日本全国に散らばる親戚や、もう二度と口もききたくないと思っていた親戚等と遺産分割協議をしなければ遺産を承継することが出来ず、残された家族は大変な思いをしてしまいます。

そういった事態を防ぐためには、現状『遺言』を作成しておく以外に方法はないのです。

さて、いざ『遺言』を作成しようとした場合、主に『公正証書遺言』と『自筆証書遺言』の2種類があります。
そのうち『自筆証書遺言』は、
① 全文を必ず自筆で作成しなければならず、不動産や預貯金口座が多数ある場合は作成するのが大変で、もし誤記等があると効力そのものに疑義が生じるおそれがある。
② 作成した後の保管場所が法定されておらず、金庫や机の引き出し等任意の場所に保管することになるが、紛失や破棄のおそれがあり、また家族に作成したことを知らせていないと、そもそも発見されない可能性もある。
③ 家庭裁判所で検認の手続きを経ないと相続手続きに使えず、手続き開始までに時間と費用がかかる。
といったデメリットがありました。

そこで政府は、平成30年3月13日、今年の通常国会に『民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案』及び『法務局における遺言書の保管等に関する法律案』を提出しました。

自筆証書遺言に関する主な改正点は、
① 不動産や預貯金口座等、遺産の目録に関する部分は、自筆ではなくパソコン等で作成することが可能となる。
② 法務局で自筆証書遺言を保管してもらうことが可能となる。
③ 上記保管された自筆証書遺言については、検認の手続きが不要。
となっており、自筆証書遺言のデメリットを解消する内容となっています。

【注】平成30年5月1日現在では、まだこの改正の内容は開始されておりません。実際の手続を行う際には、事前に法務局等への確認をお願いいたします。

この改正案が成立・施行されれば、自筆証書遺言を作成するハードルがグッと下がり、より利用し易いものとなるのではないでしょうか。

私達行政書士は、自筆証書遺言はもとより、各種遺言作成のお手伝いもさせて頂いております。
もし遺言の作成で分からないことがありましたら、お近くの行政書士までお気軽にお問い合わせください。