老後の安心~任意後見契約~

 

8月になりました!この時期、夏休みやお盆休みを利用して実家に里帰り、という方も多いですよね。

離れて暮らしていると、なかなか話すきっかけのない、老後の生活のことやお金のことや、死んだ後のこと・・・そんな、自分や家族の将来のこと、家族や親戚の集まるこの時期に、ぜひ腹を割って話し合ってみてはいかがでしょうか?

ご自身の将来や親御さんの将来を考える時に役立つ情報の1つとして、今回は「任意後見契約書」についてご紹介いたします。

 

任意後見制度とは、本人(委任者)の判断能力がしっかりしているうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ本人が信頼できる代理人(任意後見人)を決め、その任意後見人に代理権を付与する制度です。自分の将来の生活や財産管理に関する希望をあらかじめ伝えておき、そのことに関する事務について代理権を与える契約を結んでおくというものです。

 

同じ成年後見制度の1つに、「法定後見制度」というものがあります。法定後見制度は、認知症の方、精神障がいのある方、知的障がいのある方など、既に判断能力が衰えている人が対象となります。制度利用のためには家庭裁判所への申立手続きが必要で、本人を支援する人(後見人・保佐人・補助人)に誰がなるかは最終的に家庭裁判所が決めます。

 

話は任意後見制度に戻りますが、任意後見人にお願いできる仕事はどんなことかというと、おもに以下のことです。

  1. 財産管理・・・自宅などの不動産や預貯金の管理、税金や公共料金の支払いなど。
  2. 介護や生活面の支援・・・介護サービス提供機関との契約締結、施設の入居手続き、介護サービス費の支払い、入院の手続き、入院費の支払いなど。後見人自ら、掃除をしたり介護をしたりという事実行為をするのではなく、介護・福祉サービスが受けられるよう手配を行うのが後見人の仕事です。

 

任意後見契約は、その契約の内容を十分に理解できる人なら、だれでも契約を締結することが出来ますが、おもに以下のような方が、この制度を利用することが多いようです。

  1. 配偶者も子供もいない一人暮らしの高齢者
  2. 子供のいない初老の夫婦
  3. 子供はいるが離れて暮らす一人暮らしの高齢者
  4. 知的障がいや精神障がいの子を持つひとり親

「今は何とかやっているけど、将来、認知症になったら・・・」「病気で動けなくなったら・・・」そんな不安のある方が、身近に頼れる親族がいないので第三者の支援を希望する、とういケースです。

しかしなかには、近くに住む親と子で任意後見契約を結ぶ、というケースもあります。「将来の希望が言えるうちに確実に託しておきたい」「目に見える形で約束を結んでおきたい」「親族間のトラブル予防のために、契約書として残しておきたい」などなど、理由は様々なようです。

 

任意後見契約書は必ず、公証人が作成する公正証書で契約を結ばなくてはいけませんが、その契約書の原案作成や、公証人との調整には、行政書士がお役に立てます。任意後見契約について詳しく知りたい方は、ぜひお近くの行政書士にお気軽にご相談ください。