建設業許可における「解体工事業」の新設について

 

 ふと気がつけば、蝉の声は遠くなり、朝晩には秋の気配が漂う季節となりましたね。
 この1年も4分の3が過ぎていきました。なぜか年々、早いなあ、という感覚が増して
いくのは私だけでしょうか。いや、きっと気のせいだ、と思いたいところです。

 さて、今月は、我々行政書士が専門とする建設業許可手続きについて触れてみたいと
思います。本年、建設業法においていくつかの改正事項がありましたが、一番目の大きな
変更として「解体工事業」の新設があります。
 
【解体工事業の新設】
 かつて、高度成長期以降に整備された建造物も老朽化による維持管理などの課題を
抱える時期となり、その老朽化に対応した適正な施工体制を確保するために、建設業法等の
一部を改正する法律が平成28年6月1日に施行されました。
 これまで建設業法の「とび・土工工事業」の業種区分に含まれていた解体工事だけを
独立させ、専門業種としての「解体工事業」が新設されました。これにより、施行日以降、
1件500万円以上の工作物解体工事を施行する場合、建設業法における「解体工事業」の
許可が必要となります。また、この新設に伴い、解体工事業に係る経営審査事項も新設
されることになりました。

この改正においては、以下のような経過措置がとられることとなります。

《解体工事業の新設に伴う法律上の経過措置》
 施行日時点で「とび・土木工事業」の許可を受けており、解体工事業に該当する営業を
行っている建設業者については、引き続きその許可を有している限り、平成31年5月末までの
3年間は、解体工事業の許可を受けずに解体工事を施工することが可能です。
 平成31年6月以降も500万円以上の解体工事を施工する場合には、それまでに解体工事業の
業種追加の許可を受ける必要がありますので、早めのお手続きにご留意願えればと思います。

ここで、あらためて、解体工事とは何かをおさらいしてみましょう。

「解体工事業」とは、建設業のうち建築物等を除去するための解体工事を請け負う営業(その
請け負った解体工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいい、解体工事を施工する
場合には、元請・下請の別にかかわらず、施工区域を管轄する都道府県ごとに「登録」が
必要となります。
 ここでいう「登録」とは、建設リサイクル法で規定する解体工事業登録制度を指し、この制度は
従来と変更はなく継続されますが、すでに「土木工事業」「建設工事業」「とび・土工工事業」の
建設業許可を受けている建設業者は、解体工事業登録の対象外となります。

 上記の建設業許可を受けていない建設業者で、1件500万円未満の解体工事のみを施工する
場合は、解体工事業の登録が必要となりますので、注意していただければと思います。

 また、この他の建設業許可等に係る改正事項として、国土交通省より通知がなされています
ので、項目を抜粋しておきます。

・ 経営業務管理責任者の要件緩和
・ 金額要件の一部緩和
・ 監理技術者資格者証と監理技術者講習修了証の統合
・ 専門学校卒業者の位置づけの明確化
・ 技術者資格の追加
・ 申請様式等への法人番号欄の追加(平成28年11月1日施行)

 となっています。

 このように、法令の改正に伴っては、都度、細かな部分まで確認を要することになりますが、
我々行政書士は、こうした法令の変更に迅速に対応できるよう、日々研鑽を積んでおります。
 建設業をはじめ、許認可、登録手続きについてもっと詳しく知りたい、聞いてみたい。
そんな時にはどうぞお気軽にお近くの行政書士へお声をおかけください。