プログラミング教育必修化と著作権

 

毎日暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。

2020年から全国の小学校で「プログラミング教育」を必修化することが話題になっています。書店では『親子で学ぶプログラミング』のような本が平積みになり、『夏休み小学生向けプログラミング教室』なども多数開催されているようです。

「プログラミング」とは、簡単にいうと「コンピュータにさせたい指令を順序よく書いていくこと」です。私たちの身の回りにある電子機器は、プログラミングによる指令で動いています。最近TVで、プログラミングを習った中学生がスマートフォン用のゲームプログラムを作成したというニュースもありましたが、数年後には文系・理系の関係なく皆が普通にプログラミングを行う社会になっているかもしれません。

さて、このように身近になったプログラミングですが、出来上がった作品(プログラム)を他人が勝手にコピーして利用してもよいものでしょうか?プログラミングには多くの時間と労力を要しますが、プログラムをコピーするのは一瞬です。一生懸命作成したプログラムを他人が勝手に使ってよいならば、誰も新しいプログラムを開発しようとは思わないですよね。

そこでプログラムは「著作権」という権利で保護を受けることになっています。「著作権」というと、芸術の分野をイメージされる方も多いと思いますが、プログラムは芸術に近い面を持っています。同じ効果を意図して作成したプログラムであっても、「どんな指令をどんな順番で書いたらいいか?」という創意工夫は作成者によって異なり、同じプログラムにはならないからです。それはあたかも絵画を描く芸術家が構図や色を選択することと同じですね。

では、「著作権」の保護を受けるためにはどうすればいいのでしょうか?著作権法では「無方式主義(著作権法第17条2項)」といい、著作権の発生には何の手続きも要らないことになっています。つまりプログラムが完成したならば、それだけで原則として他の人は勝手にコピーをしてはいけません。

もしも自分が作成したプログラムを誰かに勝手にコピーされたら、どうしたらいいのでしょうか。その場合にはまず自らの著作権を主張して、利用を止めてもらいます。しかし相手は「ずっと前に自分が作成したものでコピーではない」と主張するかもしれません。

そんなときのために、「著作権の登録制度」があります。前述のとおり「著作権」の発生には何の手続きも要りませんが、プログラムは無体物ですし、誰がいつどんな内容で作成したものなのか?よくわからないことも多くあります。そこで当該プログラムを公の機関(プログラムの場合は「一般財団法人ソフトウェア情報センター」)に登録をしておくことで自らの「著作権」を明確に示すことができるのです。

逆に、自分が「他人のプログラム」を利用したいときはどうでしょう。この場合は、利用したいプログラムの著作権者から許可をもらう必要があります。許可を受けた場合でも、後の争いを避けるために簡単な契約書を作成しておいたほうが安心です。

行政書士は、著作権登録手続、他人の著作物を利用したい場合の交渉・契約書作成を行う専門家です。このような場合は皆様のお手伝いができますのでお気軽にご相談ください。