インターネットでの医薬品購入について

 

7月、いよいよ夏らしい季節がやってきました。
それにしても今年は春あたりから不安定な気候が続いていますね。
東京都の一部では、この季節になんと雹(ひょう)が降り積もるなど、気象庁の記録にもないという驚きのニュースも記憶に新しいところです。
四季のある日本らしくもありますが、気温の差が激しく、梅雨時の湿度の高い今日この頃、皆様も体調管理にご留意されていることと思います。
体調の管理や維持にお薬が必要な方、欠かすことの出来ない方も少なからずいらっしゃることでしょう。
今回は平成26年6月12日から適用された医薬品の新しい販売ルール、なかでもインターネットを利用した医薬品の購入について触れてみたいと思います。


まず初めに、私たちが使う医薬品は、主に「医療用医薬品」と「一般用医薬品」の2つがあります。
「医療用医薬品」とは医師による処方箋に基づいて薬剤師が調剤する薬であり、適切な調剤設備を備え、薬剤師が常駐する『薬局』でなければ販売することができません。
そして、今回のお話の「一般用医薬品」ですが、いわゆる「市販薬」と呼ばれる薬です。
この「一般用医薬品」は、副作用のリスクの度合いにより、
・「第1類医薬品」
(副作用などにより日常生活に支障をきたす程度の健康被害を生じるおそれがあり、特に注意が必要なもの)  
 例:H2ブロッカーを含む一部の胃薬、毛髪用薬など
・「第2類医薬品」
(副作用などにより、日常生活に支障をきたす程度の健康被害を生じるおそれがあるもの) 
   例:かぜ薬、解熱鎮痛薬、胃腸薬など
・「第3類医薬品」
(第1類、第2類以外のもの)
  例:ビタミン剤、整腸剤など
に分類されています。
インターネットを利用した医薬品の販売については、平成21年の薬事法改正により、一部の医薬品につき全面禁止となりました。この改正により上記のうち、第3類医薬品についてのみ通信販売が認められることとなりましたが、それまでインターネット販売を行っていた事業者が国に対し、その法改正の違法・無効を訴え、裁判で争われることとなりました。そして、平成25年1月、最高裁は一般用医薬品のインターネットによる通信販売を一律に禁止する改正薬事法施行規則の規定は違法・無効との判決を言い渡しました。ニュースでもその是非、賛否についてかなり大きく取り上げられていましたので、興味を持って見守られた方もいらしたのではないでしょうか。
こうした経緯を経て、平成25年12月13日「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律」が公布され、この6月12日に施行されました。
それでは、新しい販売ルールとはどのようなものなのでしょうか?
新たなルールでは、医薬品の区分を見直し、使用に特に注意が必要な一部の医薬品を「要指導医薬品」と位置づけ対面販売に限る一方、第1類、第2類、第3類のすべての一般用医薬品は、一定の条件を満たすことでインターネットや電話での販売が可能となりました。
インターネット販売が出来る具体的な条件とは、
・薬事法により、薬局または店舗販売業の許可を受けている実店舗を持つ薬局・薬店であること
・実店舗は週30時間以上開店していること
・実店舗は、購入者の見やすい場所に店舗名などの標識があること、購入者が容易に出入りできる構造であることなど、薬事法の基準を満たしていること
・薬剤師または登録販売者が常時配置されていること
・インターネットで販売できる医薬品は、実店舗で貯蔵・陳列している医薬品であること
・インターネットの他に、体面や電話での相談体制を整備していること 
など、利用者が、便利でかつ安心、安全に利用できるために、薬事法に基づいてその条件が定められています。
                                    
                  
販売サイトでの主なルールとは
・トップページに店舗の名称を表示する
・実店舗の写真を掲載すること
・現在勤務中の薬剤師・登録販売者の氏名などを掲載すること
・許可証の内容(開設者名、所在地、所管自治体など)を掲載すること
・営業時間外を含めた連絡先(電話番号、メールアドレスなど)を掲載すること
などが定められました。
皆様がインターネットを通じて医薬品を購入しようとするとする際には、上記の条件を満たしているかをまず確認をしていただきたいと思います。
また、厚生労働省のホームページから、各自治体に登録された販売サイトの一覧を見ることが出来ます。
そして、事業者は、対面販売と同様に、利用者に対し適切な情報提供を行わなければならないことも明確に位置付けられました。
・購入者が情報提供内容を理解した旨を確認すること
・購入者に再質問がない旨を確認すること
・薬の服用注意が必要な場合を掲示・表示すること
・乱用のおそれのある医薬品などは販売個数を制限すること
・使用期限を表示すること
などです。
上記についてのやり取りは、必要に応じ、メールや電話などでの確認、相談を行います。
また、オークション形式での販売の禁止、購入者によるレビューやクチコミなどの禁止など、販売についても細かなルールが定められています。
事業者側がルールに則って販売を行うことはもちろんですが、対面での販売ではないため、利用者側もそのルールを理解し、便利であることだけにとらわれず、安心、安全のための法改正であることをふまえ、有効に活用することもまた求められていると思います。
今回の薬事法改正に伴い、インターネット販売を行う事業者は、薬局・店舗の開設申請時にその旨を届け出ること、またすでに許可を受けている薬局・店舗についても必要に応じ変更の届出を都道府県に行うなど、手続きも一部変更となっています。
この申請や届出についても、実は行政書士の業務範囲です。
行政書士は、法律で定められた許認可、届出について、多岐にわたりその手続きをお手伝いすることが出来ます。
皆様の生活の意外に身近なところで行政書士は業務を行っているのです。
「この手続きはどうしたらいいの?」という場面に出会ったら、そんな時こそ「あなたの街の法律家」であるお近くの行政書士にどうぞお気軽にご相談ください。